2017年12月29日金曜日

今年もお世話になりました。

とても寒い冬です。雪の多い地方の訪問はご苦労と思います。
余すところ今年もあと2日。
今年はみなさんの訪問看護ステーションにとってどのような年だったでしょうか?ふりかえればいろいろと思うところがあるでしょう。

平成30年度はダブル報酬改定です。改定内容は医療も介護も報酬の要件緩和が中心となりそうです。介護保険は1月17日に答申がでる予定です。

2017年12月12日火曜日

平成30年度ダブル改定情報 医療保険

ダブル改定の審議がすすんでいる。医療保険では24時間連絡対応体制加算の連絡体制をなくして対応体制加算で一本化が審議されている。その理由として連絡体制加算を算定する訪問看護ステーションの割合が少ないこと、また在宅看取りや重症で医療依存度の高い利用者の在宅療養勧めていく上で連絡体制では十分な支援が見込めないという理由からである。


今後は二者択一でなく24時間対応体制加算の算定を余儀なくされることになるだろう。今まで連絡体制加算を算定してきたステーション、連絡体制といいながら看取りなどで対応してきた経緯を踏まえ対応体制加算算定に向け職員教育などの準備を進めてほしい。

2017年12月7日木曜日

平成30年度ダブル改定情報

ダブル改定の審議もすすんでいる。全体的な改定では介護報酬はプラス改定と言われているが診療報酬はマイナス改定になるようだ。

訪問看護に関する報酬では現在ある報酬の算定要件緩和が多くなる可能性が高い。例えば介護保険の複数名訪問看護加算では医療保険同様看護補助者の同行もか可能とする案がある。また医療保険の退院時共同指導の「特別な関係」の医療機関での算定を可能とするなどがあるようだ。いずれにせよ平成30年1月には詳細な内容が示される。

2017年11月28日火曜日

平成30年度ダブル改定情報 介護保険

「特定事業所集中減算 」の見直しが検討されている。今年の9月現在の減算事業所は7.6%と少なくそれぞれの事業所が減算にしない努力をしているのがみてとれる。改定後減算対象となるのは訪問介護・通所介護・福祉用具貸与の三サービスが絞りこまれており訪問看護は対象外となるようだ。

次に主任ケアマネとして研修を受けた質の高い人材に任せるべきという判断で居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定するようだ。経過期間を設け実施は2012年からになる。

2017年11月22日水曜日

平成30年度ダブル改定情報 医療保険

本当に寒い毎日ですね。ダブル改定の審議も進んでいます。今回は11月15日の中医協の訪問看護に関する議論をスポットでお伝えします。

「特別な関係」における退院時共同指導の要件緩和また訪問看護利用者が入院する場合の看護サマリーへの評価が検討されています。
次は報酬があがったみなしの訪問看護の伸び悩みの効果が出ていないことを踏まえ、在宅移行をすすめるために病院併設ステーションの評価が検討されています。その理由として「看護職員数が多い」「利用者数や訪問件数が多い」「重症者の受け入れが多い」などの調査結果と「病院看護師の2割弱がステーションへの就労意思をもっている」などがあげられており、それらの結果をもとに手厚い評価が検討されました。

これには医療法人立ステーションを上回っている営利法人立ステーションの反発があるのではと考えます。そもそも在宅移行が進まない理由として医療機関の退院を決める担当医の意識や地域連携室の関わりかたの課題も見え隠れしているからです。今後の審議を注視したいものです。


2017年11月12日日曜日

平成30年度ダブル改定情報 介護保険

秋も深まり平成30年度ダブル改定の審議がすすんでいる。

介護保険給付費分科会で審議内容は以下の通りである。

看護体制強化加算の算定要件の見直しである。緊急時訪問看護加算等の算定割合の期間の見直しとターミナルケア加算の算定数が多い場合の新たな区分を設けたらどうかが検討されている。
また複数名訪問看護加算を医療保険と同じように看護補助者の同行の評価区分の創設を検討している。
PT等の訪問は前にも掲載したようにPT等のみの訪問でなく看護師の訪問と併せて行い看護計画の作成・定期的な評価など看護職員との連携を強化する。また訪問看護ステーションのでのPT等によるリハビリはあくまでも看護職員の代わりにさせる訪問であることの利用者への明確化と同意を得る方向性がでている。
そして要介護者と要支援者の訪問看護実施内容の違いから介護予防訪問看護の報酬体系の評価の見直しも検討事項だ。

介護保険もステーションは重介護かつ医療依存度の高い利用者へのアプローチができる大規模ステーションが高い評価を得られる報酬体系を考えている。なお介護報酬の詳細は1月に示される予定だ。

2017年11月2日木曜日

携帯当番、本当に多い?

緊急時訪問看護加算は訪問看護師の負担が大きい。またこれから訪問看護ステーションの就職しようとしている看護師の躊躇になっている。それは電話や緊急訪問が多いのではという悪いイメージによることが多い。
実際それぞれのステーションで緊急コールや緊急時訪問の回数時間帯、どのような利用者からのコールが多いかを検証したことがあるだろうか。

介護報酬改定検証・研究委員会の「訪問看護のサービス提供の在り方に関する調査研究事業(速報値)」から、平成29年7月1か月の緊急訪問回数は「1回」が74%の結果である。緊急コールの回数は調査していないが緊急コールと緊急訪問回数は連動することが多いことを考慮するとそれほどの多さではないことが推測できる。
多くの訪問看護師は携帯当番の負担感の多さを訴えそれを受けた管理者が看護師の働きにくさを主張すことが多い。しかし数値はイメージしているほどではないことを物語っているといえないか。
一度ステーションの緊急コールと緊急時訪問がどのくらいあるのかを調べてみると訪問看護師が負担と感じているよりはるかに少ないという結果になるかもしれない。もしデータより多かったら看護内容・回数の見直しを考えてほしい。

2017年10月31日火曜日

新卒看護師の採用

 鳥取県看護協会訪問看護ステーションは2年前に新卒看護師を採用し育成し、来年度さらに1名を採用予定という。このようにステーションの新卒看護師の採用は進みつつあるが、新卒看護師採用には手間がかかるから、育てるのが大変だからなどマイナスのイメージが大きく積極的な取り組みがすすんでいないのが現状だ。しかし採用したステーションでは、管理者のとにかく採用してみよう!の積極的な姿勢とともに働く職員の協力が育成の下支えになっている。
新卒教育は既存の教育ラダーなどを使いながらステーションの状況に合わせた教育の試行錯誤の連続である。新卒だからできないのが当たり前と周囲が暖かい眼で見守り育てるその姿勢が大事である。その結果訪問看護師の平均年齢をはるかに下回る20代の次世代が育成され訪問看護師の若返りがすすむことになる。これらの取り組みが多くのステーションで行われることを期待したい。

2017年10月16日月曜日

人材確保・育成は管理者の責務

「人材確保が難しい」多くの管理者の悩みである。現在訪問看護ステーションで働いている看護師は5万人を超え訪問看護で働く看護師は少しづつ増えている。しかし求人してもなかなか応募がないため管理者の憂鬱は深まるばかりだ。

先日山梨県で人材確保・定着のテーマで管理者研修の講師だった。人材確保と育成の難しさをグループワークしたところ、携帯当番に対しては「非常勤だから」「子育て中だから」「50歳以上で高年齢だから」などが並べられた。では職員に携帯当番を含め働いていくのに不便さを感じているかを直接聞いているか?の質問に「聞いていない」という。
管理者の職員への必要以上の気配りと忖度を感じた。気配りと忖度だけでステーションの労働環境の改善はできない。管理者は個々の職員とコミュニケーションをとることで職員の考えをしっかり把握し人材確保や定着の方策につなげて欲しい。

2017年10月7日土曜日

平成30年ダブル改定情報

秋というより初冬ではないかと思うほど寒々した日が続いていますね。このように季節がすすむなか平成30年ダブル改定はすすんでいます。

24時間体制の訪問看護の安定的供給体制確保に向けた必要性が求められています。また機能強化型及び看護体強化加算が算定可能な大規模ステーションへの評価も論点となっています。
また訪問看護の供給量を増やすため医療機関からのみなしの訪問看護の充実も検討がなされています。
またPT等の訪問看護がPT等のみで実施されていることが多くそのようなステーションは看護師数が配置ギリギリであり、また緊急時訪問看護加算等の届け出が少なく急変等の課題があるとしています。これらの課題も検討されています。

訪問看護とケアマネやヘルパーとの連携も課題となっています。ケアマネやヘルパーは「連携に十分な時間がとれない」ことを課題とし訪問看護側は「専門的知識が十分でない」ことが課題だとしています。時間が足りないについては利用者のためにと考えどこかで調整できるようにするのが役割だと考えます。しかし訪問看護側のケアマネやヘルパーが「専門的知識が十分でない」という考え方はとても残念です。
ケアマネやヘルパーは医療専門職ではありませんから知識が不十分なのは当たり前ではありませんか。それで連携できないというのであれば訪問看護師の「利用者さんのために」という言葉は本当に薄っぺらくなってしまうと思いますし、ICT化したとしてもこの溝は埋めることができないのではないでしょうか。

地域包括ケアは誰のために必要な支援を誰がするのかをシステム化していくことだと考えます。それは「利用者さんのため」を考えたシステムではありませんか?「利用者さんのため」を旗頭にした他職種との連携は方向性が一致することでもっと簡単になりませんか?



2017年9月26日火曜日

管理者になりたくない!


 
管理者になりたくない!でも私しかいなかったからしかたなくなった。こんな思いで管理者になった方いますよね~
私は研修講師しているなかでその都度受講生に「管理者になりたくてなった人いますか?」の質問をしていますが、40名くらいの研修で自らすすんで管理者になったのは多くて1・2名です。
 
この質問を病院管理者が受けるサードレベルの受講生にしてみました。サードレベル研修を受けるにはそれなりのプロセスを踏んだのち職場で看護職としての最高の地位にある方にです。ちなみにこんな質問を病院の看護部長クラスにできるのは私くらいだと思いますが勇気をもって質問してみました。「看護部長になりたくてなった方いますか?」その質問の結果ですが残念ながら看護部長になりたくてなった方は「0」でした。これは質問した私自身も驚愕でした。
 
病院でもステーションでも看護職が管理者になりたくないというこの現実ですが、今後の看護実践現場をよりよくするためにも考えなければならない現実ではないですか!?
 

2017年9月21日木曜日

人材確保のPR

訪問看護ステーションの管理者にとり、人材確保は頭が痛いことである。

求人方法としてナースセンターやハローワーや新聞等の求人広告が多いが、最近ではホームページへの掲載も増えている。

募集内容は通り一遍で具体性に欠けていることが多い。
まず業務の実態がわかりにくい。訪問看護師の希望者が一番気にしているのは給料はもちろんのことだが、なによりも携帯当番の月毎の回数、待機料金、実際の緊急コール回数と出動回数など具体的なことが明確でないこと、また就職後の教育体制が不明であることが躊躇する要因となっている。
人材確保により詳細なステーションの情報開示は大事といえる。

2017年9月8日金曜日

学校等への訪問看護

平成30年度ダブル改定に向けさまざまな団体が厚労省に要望書を提出している。今回は日本医師会の障害福祉サービ等報酬改定に関する意見等に注目した。

その中に医療的ケア児の受け入れ拡大に関する提案がある。訪問看護は提供先が「居宅」となっているが、保育園や学校等でも利用できる体制の整備を提案している。


提案の背景として、医療的ケア児を受けいれる保育園・幼稚園がほとんどないこと、また医療的ケア児は特別支援学校への通学に際し保護者の付き添いによる医療ケアが行われていることを研究報告の分析結果をもとに提案している。これまでどおり保育園や学校に看護師等の配置を勧めていくが、それに加え保育園や学校に訪問看護師が出向き医療的ケア児に必要なケアを行えるように報酬の新設を求めている。

あくまでも提案の段階で新たな報酬となるかどうかは不明だが今後に注目したい。

2017年9月1日金曜日

Jアラートを経験して


 
 8月29日午前6時02分、サードレベルの研修講師で前泊していた盛岡のホテルでJアラートがけたたましく鳴った。
北朝鮮のミサイル発射に対して北海道と岩手県を含む12県がその対象で強固で安全な場所に避難せよとの指示が書き込まれていた。

ホテルの部屋は9階建ての6階だが、ミサイルの軌道がどうなっているのか、またミサイルが落ちてきた場合に安全なのかどうかはわからなからず、以前ミサイル発射後約6分で日本上空に飛来するといっていたのを思い出し安全な場所に避難するとかいわれても判断のしようがないと思いベッドで静かにしているしかなかった。

貴重かつ緊張の体験だった。Jアラートが鳴ってもなにもできない状況の中で、個人が身の安全を確保するってどういうこと?安全な場所なんてある?など考えさせられた。

2017年8月30日水曜日

もっとすすめよう!看看連携

8月29日は岩手県看護協会 のサードレベル研修講師だった。受講者は看護部長や次期看護部長の15名だった。

今、地域包括ケアシステムの構築が喫緊の課題とされているが、10年以上前から重要視されている「看看連携」はまだまだすすんでいないようだ。

病院からの早期在宅移行をすすめるためには訪問看護との連携は必要との認識はある。しかし現場での互いの意思疎通が不十分であることを受講生は認識していたが、連携がうまくいかないという。その要因としてと看護職同士の忖度のしすぎによるコミュニケーション不足があげられた。
訪問看護師は忙しいだろうから連絡するのも躊躇してしまう、あるいは退院カンファの開催時期に関してどの時期が適切さどうかがわからないなどである。互いにどうなの?と聞けばよいのにそれができていないのである。

看護部長たちの意見をまとめれば、看看連携は看護部長主導つまり病院の方針として行うことで、もっとスムーズな在宅移行が可能になる。なによりも「看看連携」は在宅移行する患者さんのために行うものなのだ。


 

2017年8月17日木曜日

医療職の接遇

1週間前、追突事故にあい救急車に乗り〇〇市民病院へ搬送された。

救急隊は4人編成で、検温などの状態観察と問診が行われたが、当事者である私への気遣いが感じられる対応で救急隊の方たちの接遇のよさに驚いた。〇〇市民病院の救急外来で看護師にしっかりひきついだのち私に「お大事に」とその場を去っていった。


〇〇市民病院は15年以上前看護師等の接遇の悪さが際立っていたが、まるで別の病院かと思うほどよくなっていた。診察を待っている私によく声をかけ不安を軽減しようとしていることがわかった。

今回の経験で、患者になると看護師を含めた医療職の接遇のよさが安心につながることがわかった。訪問看護師のみなさん、利用者への接遇できてますか?利用者さんはさまざまな医療機関を受診しておりもしかしたらそこの看護師さんと比較しているかもしれませんよ!

2017年8月3日木曜日

起業ナース誕生する

17年以上前一緒に働いていた訪問看護師が起業することになった。

彼女は今まである法人で管理者として働いていたが法人とさまざまな不協和音があり退職した。退職した当初はどこかの訪問看護ステーションに就職しようと考えていたようだが起業もありかと思いたったそうだ。
起業の理由として彼女は自由に働いていたように見えたが、法人の管理者として働くことの限界があると言っていた。他部門や管理部門との関係性がその一例だ。

今彼女は自分での法人設立に奔走しているが、知らないことも多いのは当然だ。司法書士を頼まずに法人設立するには今までの経験ではなかった公証役場や法務局と関わることから始まるが、初めての経験は彼女の社会人力をあげていくことになる。

2017年7月29日土曜日

フィジカルアセスメントの実情

6月にフィジカルアセスメントについてこの欄に書いたが、今回はフィジカルアセスメントの現場の実情を示す。

多くの訪問看護師は訪問看護実践でフィジカルアセスメントが重要だとしている。その通りです。
しかし研修会でフィジカルアセスメントに必要な知識を聞いていくとあれ?と首をかしげたくなる時がある。
例えばここんな猛暑で利用者の脱水症状には十分注意が必要にも関わらず、水分補給の量や内容を把握する方法がわかっていない、あるいは摂取量や水分が摂取後何分で吸収されるのかを知らないなどである。この頃はテレビの情報番組でもこれくらいの情報は流れているくらいだ。
また意識レベルの評価のJCS(Japan coma scale)について答えられないことが多くみられる。このスケールはターミナルケアでは欠かすことができないのだが・・・

フィジカルアセスメントの学習は訪問看護実践にとって極めて重要です。今一度学習することまたアセスメントに必要な最新情報を収集し日常の訪問看護業務に生かしてほしい。

2017年7月21日金曜日

訪問看護師養成研修

訪問看護師養成研修、最近はeラーニングと研修との組み合わせで行われていることが多い中が東京都看護協会では30日間の研修プログラムを実施している。7月19日が研修初日、ここ数年(10年くらいかな?)初日を担当している。

今年の受講生は43名、そのうち13名が離職中で訪問看護師を目指しているあるいは訪問看護に興味のある看護職だった。

訪問看護制度、訪問看護ステーションの現状と訪問看護のありかたが主な内容だ。訪問看護師は制度をしっかり学び業務することが基本である。猛暑の中での学習になるが頑張ってほしいものだ。

2017年7月7日金曜日

平成30年度ダブル改定情報 介護保険

7月5日、介護給付費分科会が行われた。平成30年の介護報酬に関わる審議だ。

注目すべき論点は、訪問看護ステーションの理学療法士等による訪問看護である。その根拠として理学療法士等のみの訪問看護でその割合が約3割であること、また理学療法士による訪問の増加率が著しいことがあげられている。

制度では看護業務の一環としてのリハビリテーションでありあくまでも看護職員の代わりに訪問させるという位置づけになっている。平成21年3月の介護保険最新情報では、理学療法士等の訪問が看護師等の訪問回数を上回る設定もあるとしたうえで、病院や老健が地域に存在しないこと等による訪問リハビリテーションを適切に提供できずその代替えとしてのステーションからの理学療法士等の訪問が過半を占めることもあるとしている。

実際大規模ステーションでは多くの理学療法士等が1か月90件以上の訪問でステーションの収益に貢献しているが、リハ単独の訪問が多いのが現状だ。

これらのことから理学療法士等の訪問にメスが入れられるこだろう。ステーションでは、看護師の訪問を計画するまた互いの情報共有による訪問看護の提供体制づくりを構築するなど改定への備えが求められている。

2017年7月1日土曜日

医師の死亡診断方法の緩和

医師による死亡診断の方法の緩和が厚労省で検討されている。スマートフォンなどを活用し亡くなった方の状態を把握するなどを条件に死亡診断書を出せるようにする方向だ。
その根幹には今後多死時代に向かっていくなかで在宅や介護施設等での看取りをしやすくしたいと考えている旨があるようだ。

訪問看護ステーションではここ数年ガン末期等の在宅での看取りが増え続けている。看取りの死亡診断に主治医のタイムリーな対応は訪問看護師として安心できるターミナルケアにつながっているのが現状だ。

しかし今回の規制緩和は看護師が心肺停止、瞳孔の開きの間隔をおいた2回確認、外傷の有無などを観察しスマートフォンやタブレット端末で遺体の写真と状態観察した内容を医師に送り、医師が「死亡」と確認したら看護師に死亡診断書の代筆を指示する。代筆を指示できる条件は死亡する2週間以内に診療していた医師であり、この医師が他の業務がありすぐに対応できないなどまた患者家族等がこのような死亡診断の方法に同意しているなどの要件が想定されている。

当然のことながらこの緩和は訪問看護に関わってくる。今後の緩和内容に注視したいものです。

参照 6月30日毎日新聞デジタル版

2017年6月22日木曜日

フィジカルアセスメントを考える

訪問看護のフィジカルアセスメントは看護ケア実践において極めて重要である。

岡山県のある法人でフィジカルアセスメントの基本の考え方を話す機会があった。訪問看護の現場を離れ13年以上経過しているので再学習し研修に臨んだ。
そこでわかったこと、多くの訪問看護師さんはフィジカルアセスメントの本当の目的を見失っていないかということである。

フィジカルアセスメントとは身体的な情報と意図的な情報収集とに基づく判断である、また行う目的は訪問看護業務の「診療の補助」「療養上の世話」などの看護実践につなげることである。

フィジカルアセスメントはバイタルサインズチェックとシステムレビュー(問診)それと視診・触診・聴診・打診で構成されている。ちなみにフィジカルアセスメントの約80%はシステムレビュー(問診)による情報収集である。つまり訪問看護師がチェックしたバイタルサインズ等とそれに基づいたシステムレビューをインテグレイト(統合)し考え判断することがフィジカルアセスメントなのだ。

システムレビューは利用者や家族等からの聞き取りによるため時間がかかる。ちなみにある調査結果では短時間の訪問看護はシステムレビューが不十分なことから利用者の状態変化が起こりその結果緊急コールが多いことが明らかだ。

短時間の訪問看護多くなってませんか?緊急コール多くなってませんか?今行っているフィジカルアセスメントがルティーン化していませんか?

2017年6月7日水曜日

年商1億円達成

大分県の管理者研修が6月3日にあった。講師として伺うようになり今年は3年目だ。

その会場で会った管理者のエピソードを紹介する。

自分がやりたい看護がしたい、自由にステーションを経営したいと起業したものの先行きに不安を覚えていたそうで、平成27年度の管理者研修を受けた。「年商1億円のステーション」のことを聞き同じような管理者が達成しているのなら私にもできるはずだと考えた。
そして年商1億円への取り組みが始まった。研修で学んだことをもとに、達成するための方法を考え計画し実施しその結果開設3年目に年商1億円を達成できた「先生のおかげです。」と笑顔で報告してくれた。

今年もさまざまな県の講師を引き受けたが、こんな管理者がもっと増えてくれることを願っている。

2017年5月24日水曜日

訪問看護師への暴言や暴力

訪問看護は原則看護師一人で行われる。危険な目にあうこともある。

兵庫県神戸市看護大学が平成27年に訪問看護師が業務中に受けた暴力行為に関する調査を行った。
約5割の訪問看護師が暴力を受けたことがあると回答している。暴力の主体は利用者7割、家族2割だ。具体的には身体的暴力やセクハラだ。このような辛いめにあいながら「暴力を受けることも仕事」と泣き寝入りするケースが多くあるという。
利用者も多様化し対応に苦慮することも多くなっているのは確かだ。しかし「暴力や暴言を受けることも仕事」と考えることは問題だ。
暴力と暴言行為はいついかなる場合でもあってはならないことだという認識をもち利用者からのこれらの行為を表面化し行政等の支援につなげることも必要である。また複数名訪問看護加算の活用により暴力行為等を未然に防ぐ対策も必要とである。


2017年5月11日木曜日

サービス付き高齢者住宅の調査から

全国で21万戸あるサービス付き高齢者住宅を対象に2015年1月から1年間に起きた事故に関する調査結果が発表された。事故の件数は1年間で3千件を超え、その半数以上が個室で発生している。事故と死因の内訳は以下のとおりである。

事故の内訳
1位 骨折
2位 ケガや病気
3位 配薬ミス

死因の内訳
1位 病気・衰弱
2位 誤嚥
3位 転倒

サ高住には訪問看護利用者が多くいる。関わっている利用者の事故も経験したことがあるだろう。骨折や病気(病状の悪化)配薬ミス、誤嚥、転倒などは予防できることである。事故を未然に防ぐための訪問看護時間や回数・内容のアセスメントの実施がポイントとなる。

2017年4月27日木曜日

医師への調査結果から

中医協の調査。
かかりつけ医が訪問診療している患者の疾患は、循環器・脳血管疾患・認知症・糖尿病・骨折の順だった。
訪問診療の約9割は、在宅療養支援診療所が行っている。在宅支援診療所の届け出数は横ばいで、1か所の在宅療養診療所の在宅患者数は1位の9人未満が一番多く次が10人から19人未満そして100以上と大きなバラツキがある。このような医師の在宅の診療状況であるが、医師も負担感をもっていることが調査結果からしめされた。負担感の上位の項目は
  1. 在宅患者の24時間対応
  2. 患者に処方している医薬品の管理
  3. 患者が受診しているすべての医療機関の把握である。
多くの医師の在宅での診療時間は30分以内となっており、上記の3項目は患者の診療時の情報収集だけでは十分行うことができないために負担感となっているのではないかと推測することができる。これらの結果から訪問看護ステーションの医師への対応や情報提供のあり方が見えてくる。それは24時間対応の役割分担や処方薬の管理状態と他科受診の有無とその内容の詳細の情報をタイムリーに提供することである。
このような医師へのアプローチは新規利用者確保につながる営業活動になる。

2017年4月24日月曜日

看護師国家試験の結果から

3月27日2016年度保助看国家試験の合格発表があった。看護師の合格率は90%を下回った。結果は2005年度以来の低さということだ。

大学の看護学部や学科は毎年増え続け多くの看護師を養成して医療機関等で働いてくれることを期待している。しかし今年度の結果は残念というしかない。看護師国家試験の出題傾向について書いた記事を読んだが、過去問の学習だけではだめで状況設定問題は読解力が求められるようだ。すこし前に聞いたが看護師は理系の知識とそれ以上の読解力が必要とされると。

読解力はただ書物や資料を読みこめることだけではない。対象者の心理を理解し考えていることを把握したうえで看護師としての判断のもと得た情報の内容にしっかり呼応できること、そして専門的な知識や情報に裏付けされた看護実践ができることだと考える。まさに訪問看護実践で要求されていることだ。

2017年4月11日火曜日

稼働率を高める

中医協審議会の意見交換資料によると、ステーション数の増加だけでなく職員数や利用者数など規模の拡大がみてとれる。

平成21年当時職員数5人未満のステーションが55%を占めていたが平成27年には45%になり職員5人以上が54%になった。利用者数でみるといちステーションあたり68人、1か月あたりの訪問回数は435回である。利用者数自体の伸びは平成21年が61人でそれほど増えていないが、訪問回数を伸ばしている。その理由は利用者1人当たりの訪問回数が増えたからだ。ステーションの規模や訪問回数の増加は経営状況に影響し平成26年の介護事業経営実態調査で収支差率がプラスのステーションが多くなってきている。

これらの結果から職員の稼働率を高めることが経営安定の鍵になるのである。

2017年4月3日月曜日

後継者の育成

コミュニティケアの4月号の特集「後継者の育成」書かせていただきました。

編集者から「励まされた」「管理者の役割を再認識できた」などのお便りがあったと嬉しいメールがありました。研修やコンサルで会う管理者たちの現実と世代交代の課題について管理者を喚起させる内容になっています。


管理者として必死で守り育ててきた訪問看護ステーションを次世代に引き継ぎそしてさらに発展させることができればと考えました。

2017年3月26日日曜日

毎日聞くことばと看護の関連性

寒さの中開花を待つチューリップ。

毎日のように聞く「忖度」のことば意味は相手の心中を思いやることです。かなり古いことばのようですから私たちにとって聞きなれないのは当然のことです。そして毎日のように「忖度」のことばを聞きますが、あまりよろしくない意味のことばになっています。しかしさきに述べた「忖度」の意味を考えてみると看護につながるのではと思いました。

「忖度」の意味は相手の心中を思いやることです。看護実践は利用者や介護者の心中を思いやることの連続ではないでしょうか?たとえば在宅での療養の意向や看取りの意向などその都度その都度利用者等の心中を思いやりそれを看護に反映していくことが求められるのですから・・・

2017年3月18日土曜日

ケアマネへの調査より

  1. 厚生労働省が平成28年に実施した居宅介護支援事業所および介護支援専門員の業務の実態に関する調査研究結果の概要案を示した。その結果、退院直後や在宅看取りなど医療依存度の高い利用者へのケアマネジメントがおこなわれていることが明らかになった。
  2. 利用者に在宅サービスを紹介率する理由として、


①利用者・家族の希望
連携・情報共有のしやすさ
利用者の状態に合わせた細やかな対応が可能ができる
していることがわかった。
ちなみに訪問看護を紹介する理由は、
①医師の指示があるため
②看取りに対応できる
③退院時等急な病院への訪問やサービス調整が可能なためとしている。
これらの結果からケアマネへのアプローチを考慮することで介護保険利用者の確保やスムースになるのでは・・・


2017年3月6日月曜日

看護するときの距離間

くちなしの花の香りで春になったと感じ、ふと見るといろいろな春の花を見つけることができます。

訪問看護は看護師のアセスメント能力が求められます。そのアセスメントの精度を高めるのは、利用者や家族とのコミュニケーションから得た日常の情報です。そのための円滑なコミュニケーションは欠かせません。


コミュニケーションを円滑にする方法を考えてみます。利用者との距離間とタッチングがポイントといえます。タッチングは心理学でも対象者を安心させ信頼関係を構築できる手法とされています。状態観察の時やケアする時は当然利用者の身体に触れるますが、効果的にするためにタッチング効果を看護師が認識して行えるかどうかが問われます。
距離間ですが看護師と利用者の身体の距離です。状態把握など聞き取りが必要な時に利用者との距離の取り方がですが、正面がよいのか?隣がよいのか?があります。これは利用者の反応を見ながら位置と距離を決めることが大切です。

2017年2月21日火曜日

ホームページでの発信

春はまだまだの寒さですが、植物はその存在を示すかのように咲いています。みなさんの訪問看護ステーション、ホームページがありますか?コンサル等で聞いてもホームページがあるステーションはまだまだ少ないのが現状です。

ネット上に掲載されているステーションのホームページをみてみました。同一法人のホームページへの掲載やステーション独自での掲載とさまざまですが、ひとこでいうと地味で主張と発信が弱いことです。

65歳以上の高齢者のインターネット活用率は6割以上という調査結果があります。つまり何か調べたいことがあるときはインターネットを活用するということです。あるステーションのALS利用者の妻がインターネットで自宅近くのステーションを検索し訪問看護の依頼をしてきたり、80歳の介護者がホームページからステーションにアクセスするようになっています。このような状況からステーションのホームページは訪問看護利用のメリットをわかりやすくまたステーションへのアクセスも簡単にできるような画面構成にすることが求められるのではないでしょうか。また報酬改定や地域の情報や介護支援の情報などタイムリーな発信も大切です。

2017年2月13日月曜日

訪問看護って高い!?

管理者や訪問看護師からよく聞くフレーズ「利用者やケアマネから訪問看護って高いといわれるんです。」これらはケアプラン作成時や利用中が多いようです。このことを言うとき管理者等は困った表情をします。なぜこのような表情になるのでしょうか?

困り顔になることはありません、なぜなら看護の報酬は国が定めた報酬なのですから。
困った顔の原因は何か?を考えてみました。訪問看護が利用者にとって必要不可欠かつであることが曖昧なこと、また訪問看護の提供による成果を確信できないゆえではないでしょうか?

訪問看護師として利用者の状態から必要な看護は何か?必要な看護を提供するための時間や回数はどのくらいが適当なのか?を考えることで困り顔は晴れ晴れするのではないでしょうか。

2017年2月5日日曜日

訪問看護ステーションの存続

春がくるのが待ち遠しいですね。せめて家の中だけでもとポピー咲かせました。寒くて硬くなっていた体も気持ちも緩んできます。

訪問看護ステーション数は増えています。平成24年以降の推移を見ると、新規開設立は増えていますが全体の約半数は休廃止していることになります。長年活動してきたステーションの休廃止も増えているといえます。

ステーション数は今年中には1万か所を超えると思います。しかし休廃止するステーション数を考えると何かやりきれない思いになります。休廃止の理由として赤字経営がその主な理由です。
ステーションの存続は難しいといえます。経営者と管理者が一体となり互いの果たすべき役割を自覚し業務での実践ができること、在宅療養に必要かつ専門的な看護実践ができること、職員すべてが経営に向き合えるような体制をつくるなどがステーションの存続の肝といえますがこれらがなかなかできないため存続できないのです。

開設したばかりのステーションだけでなく、長年続けてきたステーションも今まで大丈夫だったからこれからもなどと考えてはいけません。安定した経営で生き残こる策を講じてください。

2017年1月27日金曜日

管理者の制度理解は大事!

管理者の訪問看護制度や報酬の知識の不足を感じることが多い。

訪問看護ステーションは診療報酬改定と介護報酬改定ふたつの改定に関わっていることもあり、報酬改定の回数も多くまた報酬の中身も複雑であるが、知識不足により間違った請求をしているステーションがある。

特に新しく創設された精神科訪問看護療養費や機能強化型訪問看護療養費の請求ミスがある。どちらのミスも算定要件を熟読しないまま勝手な解釈による間違った請求をしていることが多い。例えば機能強化型訪問看護療養費の算定要件を満たしているにもかかわらず、管理者みずからの間違った思い込みで届け出できないとし約2年間放置していた残念なステーションもあった。

制度のもとで業務するステーションはまずは制度がどのように変わっているのかと報酬改定の内容を十分ウオッチし請求ミスをなくすこと、また請求可能な報酬の算定漏れがないように取り組んでほしい。

2017年1月17日火曜日

管理者の目標管理

寒さの中でひっそりと咲いているパンジー。健気さを感じます。

新しい年が始まりました。管理者のみなさん今年の目標、決めましたか?
コンサルで会う管理者の多くは真面目に仕事をしています。それは評価できるのですが、管理者としてどのようなステーションにしたいのかが残念ながら明確になっていません。ステーションの理念が明確でないといつまでに何をどのようにするのかのビジョンも曖昧となり目標設定もできないことになります。管理者としての成果を出すためにも目標設定は極めて重要なのです。

理念=どのようなステーションにしたいか
ビジョン=理念達成のための青写真 
     いつまでに何をどのようにを明確にする
目標設定=ビジョン達成するための方法と数値と期間を明確 
     にする 
     

目標設定は管理者だけでなく職員とともに行ってください。曖昧な方向づけではいけません。職員全体で決めることで目標の共有ができ目標を達成を目指した取り組みが可能になります。



2017年1月14日土曜日

管理者のビジョン

毎年様々な県でコンサルを行っている。オフィス萩原の昨年のコンサル実施数は約40か所だった。コンサルは事前の資料提出をもとに管理者からの聞き取りを中心に実施していく形式である。

コンサルで管理者へのインタビューをするが、残念なことに多くの管理者はステーションのビジョンを考えていない。ビジョンを決めるのが管理者であることやビジョンを決めることの必要性の自覚がないのだ。中には職員からステーションの今後が不透明だといわれてもビジョンを示すことができない管理者もいるくらいだ。

ビジョンはステーションが目指す方向である。それが明確になっていなければ職員はどのように働けばよいのかがわからない。そのようなステーションで働く職員のモチベーションが心配だ。今は1月中旬でまだ新しい年が始まったばかり、管理者のみなさんステーションのビジョンは明確になってますか?ざっくりした内容でなくステーションの規模や利用者数など数値を含めた今後を職員に示してください。

2017年1月8日日曜日

利用者確保を邪魔するのは?

寒い日が続いています。冬の味覚「みかん」のおいしい季節です。

介護保険で2割負担の利用者がいますが、当初訪問看護ステーションの利用控えがあったということをステーションから聞いてました。しかし介護保険サービス全体の調査で2割負担の方はそこそこの収入がある利用者でありそれまで利用していた介護保険サービスの利用控えは当初考えていたほどではなかったという結果がでています。

ではなぜ訪問看護の利用控えになったのでしょうか?ある県で利用者確保に関する訪問看護ステーションの調査結果に愕然としました。医師もケアマネも報酬の高さは利用者確保に関係ないとしているにもかかわらず、訪問看護師自身が訪問看護の報酬が高いから利用者確保につながらないと答えていました。
この結果みなさんはどのように考えますか?