2014年12月27日土曜日

良いお年をお迎えください。

今年もあと4日となりました。

今年は寒いですね。
雪の多い日本海側や北海道の訪問看護ステーションのみなさん、毎日雪との戦いお疲れさまです。

吹雪の訪問の帰りに遭難しそうになった訪問看護師がいたそうです。まさに「行きはよいよい帰りは恐い。」ですね。

雪の多い地域では出勤してまずステーション周囲の雪かき、そして利用者宅の玄関先までの雪かき、しんしんと降る雪の中帰りの雪かきやスタッドレスタイヤでも凍って滑る道などへの対応など、単に訪問看護をするだけではすまない北国の訪問看護の厳しさがあります。
訪問看護師のみなさんの身の安全を考えた対策が求められます。夜間の訪問看護には細心の注意を払ってください。

「訪問看護みたり聞いたり」は今年最終回ですこの1年ブログを見てくださった方がたに感謝します。来年も訪問看護師のみなさんのお役に立てる内容を掲載していきます。

2014年12月17日水曜日

平成27年度介護報酬改定情報 その2

9年ぶりのマイナス改定。
特別養護老人ホームやデイサービスを中心とした報酬引き下げとなるようだ。

訪問看護に関する報酬で引き下げになる可能性の高い報酬は、PT等セラピストのリハビリである。

訪問看護ステーションのPT等による報酬を病院・診療所の訪問リハビリテーションの基本報酬単価を横並びにする、つまり報酬を単価の低い訪問リハビリテーションに合わせる可能性があるという情報があるので詳細がでてくるのをまってくださいね。

2014年12月14日日曜日

管理者の収入増への取りくみ

神奈川県訪問看護ステーション連絡協議会の初任管理者研修が12月始めに終了した。1回目は10月で今回の研修までの期間は2か月あった。1回目の研修で参加した初任管理者に自らのステーションの課題抽出と解決への取りくみその結果を示す宿題を出した。参加した管理者は忙しい中でもそれぞれの取りくみをしてきた。

その内容は「加算の算定数をあげる」「特別訪問看護指示書の有効利用」「利用者とのコミュニケーション能力の向上」などである。」その中で「特別訪問看護指示書の有効利用」を積極的に行ったステーションの管理者からは退院の利用者4名に対し特別指示書での訪問看護を実施した結果1か月40万円の増収があったという報告があった。

訪問看護ステーションは報酬依存型事業である。「特別訪問看護指示書の有効利用」は報酬のしくみを理解したうえで適切に算定することで収入は増えることを示している。また報酬だけでなく毎日の訪問看護による利用者等の安心感は在宅療養の継続につながることはいうまでもない。



2014年12月8日月曜日

平成27年度介護報酬改定情報

今年度の診療報酬改定では、重症で利用依存度が高い利用者への訪問看護への評価が明確に表れています。来年度の介護報酬改定も重度の利用者の対する訪問看護を強化する方向性が打ち出されました。


機能強化型訪問看護ステーションの評価と同じく、介護保険でも中重度者の利用者を多く受け入れるステーションを評価する加算が新たに創設が検討されています。
内容としては「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」「ターミナルケア加算」この3つの加算のすべてで一定以上の割合の算定実績があることを要件にするようです。つまり介護保険の利用者も重症度が高く在宅看取りにつながる利用者確保が報酬として評価されるということになり、軽度で医療依存度の低い利用者の多いステーションは今回の介護報酬改定の恩恵を受けられないこともありえるということです。

みなさんのステーションの「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」「ターミナルケア加算」の算定数やその割合はどのくらいですか?
コンサルの実施結果でも、「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」の算定数が低いステーションの経営は芳しくないという現状があります。
みなさんステーションの現状把握をして来年4月の介護報酬に備えてください。


2014年12月3日水曜日

精神科訪問看護基本療養費算定要件研修会開催

精神科訪問看護基本療養費算定要件研修会、どの会場もいっぱいでキャンセル待ちとのことですが、受講したいと考えている訪問看護師のみなさんへ朗報です。

富山県看護協会での開催が決定しました。
日程は平成27年1月31日・2月7日・2月8日です。富山県看護協会の協会員以外は4,000円×3日で12,000円です。

問い合わせ先は富山県看護協会訪問看護ネットワークセンター☎076-431-0230

2014年12月1日月曜日

管理者の経営目標 ふたつのエピソード

11月29日30日、富山県のコンサルでした。

平成25年看護師が定年後に立ち上げた訪問看護ステーションです。開設当初は利用者0人でしたが、なんと90人以上になっていました。このステーションのコンセプトは、他のステーションが受け入れない利用者や対応に苦慮している利用者を受けることです。たとえば1年間治らなかった褥瘡のある利用者を3か月で治癒させるなど成果を上げて利用者数を増やしてきました。
 
そして昨年の目標どおりにナーシングホームをたちあげていました。対象とする利用者は医療処置が必要かつ重介護ということです。今後は人工呼吸器の方も受け入れていくそうです。管理者としてナーシングホームの当直、日中は訪問看護業務・管理業務と三束のわらじをはき「先生私倒れそう!」と言いながらも自分の看護実践の成果が形となっていくことに喜びを感じ本当に楽しそうでした。

もうひとつのエピソード。新規の訪問看護ステーションですが、今後の目標として「ステーションをつぶさない!」と明記していました。今年だけで100件以上のコンサルをしてきましたが「ステーションをつぶさない」の目標は初めて。
この目標こそすべての管理者が掲げてほしいと思っていました。事業は継続できて初めて成果と利益が出ます。

全国の管理者へ「ステーションをつぶさない」この目標を掲げてください。そしてつぶさないための取りくみを実践してください。



2014年11月23日日曜日

複合型サービスの名称変更

11月22日埼玉県訪問看護ステーション連絡協議会の研修にいきました。写真のお花はその時にいただきました。きれいですね!
参加者は約70名でその中で機能強化型訪問看護ステーションは4か所、今までいった県に比べて多かったというのが印象的でした。
 
さて来年度の介護報酬改定についてですが、
複合型サービスのさらなる普及促進のための名称変更「看護小規模多機能型居宅介護支援(仮称)」と、訪問看護利用者の一定割合の利用を評価した加算を設けることとこれまではなかった同一建物向けの基本報酬の設定の創設の方針が打ち出されました。これから現在の複合型サービスをはじめようと計画している事業者は今後の報酬の動向を見守ってください。
 
来年度

2014年11月21日金曜日

平成27年度介護報酬改定 病院・診療所の基本報酬引き上げ

医療機関からの患者の在宅復帰が進んでいることから、訪問看護へのニーズの高まりに対応できるように診療所・医療機関からの訪問看護の基本報酬の引き上げが決まった。
他には、「緊急時訪問看護加算」「特別管理加算」「ターミナルケア加算」は一定割合以上の算定実績を評価するとしている。

その裏側には、今年度の診療報酬改定で7:1一般病棟入院基本料の要件厳格化により7:1の病床の維持困難による病棟の転換、そのために余剰な看護師が生じた場合に訪問看護部門の開設や人員の充実につながるとの考えがあるようだ。

診療所・医療機関の訪問看護部門は年々減少している。基本報酬引き上げで在宅移行が円滑になること、また訪問看護部門とステーションの連携強化につながるとよいですね。


2014年11月16日日曜日

訪問看護ステーションはビジネス

11月15日福島県訪問看護ステーション連絡協議会の管理者研修会でした。折しも今年一番の冷え込みで、福島県の空気は本当に冷たかったです。

福島県立医科大学看護学部の教室での研修会は8月に次いで2回目の開催でした。参加者は約50名強。
前回の研修会以後経営安定へどのような取りくみをしたかを聞いたところ、管理者として経営の安定に向けた取りくみを継続して行っていないことがわかりました。
たとえば1回だけ営業活動をしたけれど成果がでないからあきらめその後していないとか、訪問実績の数字を見ているがよくわからないからその後は見ていないなどの報告です。
これは福島県に限ったことではありません。

つまり事業を継続していくあるいは事業を拡大する事業欲が足りないということです。訪問看護ステーションは介護保険制度が創設されたときから訪問看護事業(訪問看護ビジネス)と言われるようになりました。
ビジネスですから同じ規模や同じ体制を維持していくことではなくまずは黒字にし、小規模から中規模・大規模へと規模を拡大し利益を増やしていくことが求められています。そのためには管理者のたゆまぬ事業努力が必要ですから、少しだけやったけど成果がすぐ出ないからなどの理由で経営への取りくみを止めてはいけないのです。もちろんうまくいかないことも多いと思いますが、それでも工夫しうまくいく方法を考えていく、この姿勢が求められています。

経営者ということを示す良い機会なのですから。

2014年11月10日月曜日

クリスマスツリー もうこんな季節に

時羽田空港のクリスマスツリー。

雪の降る地域のステーションは車のタイヤ交換の季節ですね。

8日は高知県看護協会の管理者研修会でした。高知県は面積が広く1日の移動距離は120キロ。岩手県や北海道と肩を並べています。またステーションがない地域もあり、移動に時間のかかる遠隔地の利用者に訪問しているステーションに県が補助金(訪問看護1件に対して)を出しています。
高知県では今後ステーションのない空白地域への開設支援も考えているようですが、そのような地域の住民の訪問看護へのニーズ、在宅療養や在宅看取りのニーズがあるのかないのかを把握したうえでの整備をしていかないと開設したとしても経営的には難しいものがあります。

これらは高知県だけの問題ではないといえます。ただステーション数を増やせばよいというものではなく、地域住民のニーズ調査、医療圏との兼ね合いなどを含めた情報による緻密な開設が求められています。



2014年11月1日土曜日

フィジカルアセスメントは訪問看護の技

10月31日夜、新潟駅前で会ったハロウインを楽しむ若者達。

11月1日、新潟県看護協会立訪問看護ステーションの研修だった。


協会立のステーションとして看護の質を高めるための研修会である。講師は、訪問看護認定看護師の松井さんである。今回はフィジカルアセスメントの基本を学んだ。

フィジカルアセスメントは症状・兆候を医療や看護の知識を使い客観的に情報収集し正常・異常の判断をすることである。つまりシステムレビュー(利用者や家族等から話を聞きながら情報を集める)とフィジカルイグザミネーション(システムレビューで得た情報をもとに客観的情報を視診・触診・打診・聴診を使い集める)で構成されている。
フィジカルアセスメントはまさに訪問看護の技である。その技は他のサービスとの差別化だけでなく利用者からの看護への信頼を確かにする技といえる。



2014年10月24日金曜日

福井県看護協会のチャレンジ就業

10月22日から23日まで福井県にコンサルを実施した。
訪問看護師の確保は、すべての県の喫緊の課題である。福井県の取りくみを紹介する。

左のパンフレットは福井県看護協会訪問看護支援室が今年の4月から始めた訪問看護ステーションの人材確保の取り組みである。
「チャレンジ就業」は訪問看護ステーションへの就職希望者が試しにステーションで働くことができるシステムである。期間は2か月間。その間給料も出る。今までに10名の看護師がこのシステムを利用し働いていたステーションに就職した。

「チャレンジ就業」では、2か月間訪問看護財団学習支援プログラムに基づいたOJTが行われる。また就業中に訪問看護支援室の担当者がステーションに赴き管理者と看護師との3者面談を行うなど丁寧できめ細かな支援が行われることで訪問看護への不安要素が払しょくされ就職につながっていると考える。
さてお金の出所であるが、県の事業であり「チャレンジ就業」のステーションには費用が充当される。訪問看護師確保に悩むステーションにとって一石二鳥のシステムである。

2014年10月17日金曜日

管理者のロールモデル

宮崎県の特産品の伊勢海老と宮崎県看護協会のナースセンター担当者荒川さんと私のスリーショット!?

北の岩手県盛岡のうに丼とさんまのお刺身と南の宮崎県の伊勢海老のお刺身と炊き込みご飯は私的には両横綱です。


宮崎県の管理者研修は平成19年から開催し今年で8年目、最初から講師として関わっています。
昨年度から訪問看護ステーション管理者の実践報告を取り入れたプログラムになりました。今年は医療法人立訪問看護ステーション2か所と医師会立訪問看護ステーション1か所の管理者の実践報告。

3人とも管理者になりたくてなったのではないけれど、経営の早期安定を目標にさまざまな取り組みをしてきました。そのよう中で夜眠れなかったり、職員からの突き上げにあったり、上司との関係に悩んだりと多くのストレスとの戦いの連続だったそうです。このような取り組みは管理者のロールモデルを示す良い機会です。
身近な管理者の課題解決の手法や困難を乗り越える方法や考えかたなどは、悩みを抱えている受講生に何らかの示唆を与えてくれるだけでなく、これから向かおうとしている困難に立ち向か勇気を与えてくれます。

2014年10月8日水曜日

訪問看護師の経営参画

10月7日訪問看護師養成講座の講師として、新しくなった北海道看護協会に行った。
広々とした敷地にざまざまな木々が茂り、四季折々の美しさを醸し出すという。建物内も広々としていた。

参加者は訪問看護師やこれから訪問看護師になろうとしている41名。訪問看護師養成講座は全過程の3分の2以上を終わり、ともに学んだ時間の共有で年齢やバックグラウンドなんて関係なく和気藹々。

私の担当は訪問看護ステーションの経営・運営である。
最初、受講生の反応は経営・運営は管理者が考えることでしょと傍観気味。でもステーションは報酬依存型事業であること、一人ひとりの訪問看護師の看護実践が報酬算定に反映されること、また利益は還元され働きやすい職場環境づくりや研修参加の原資になることを伝えると、受講生の表情が変わった。

訪問看護師たちは自分たちの看護実践がステーションの経営を担っていると自覚したとき正確な報酬算定につながるのです。管理者のみなさん職員が積極的に経営参画できるように訪問実績の公表や収支状況の開示をして職員の意識を変えていきましょう。









2014年9月28日日曜日

これからの訪問看護のありかた


 

写真はハワイワイキキのアラモアナ公園後方から見たサンセットの景色。ハワイの夕焼けは本当にきれい。
実は息子の結婚式で9月22日からハワイに行きました。毎日30度以上で本当に暑かったけれどハワイを満喫!

ハワイの高齢者は、有料老人ホームに移り住むことが多く、気候がよいのでアメリカ本国から移住してくる高齢者も多いとのこと。
高齢者事情は国によって異なる。アジア圏の韓国は儒教の教えにより在宅で介護することが多く、中国は医療機関への入院が多いと聞いている。

2025年問題も踏まえ、日本は在宅介護へ大きく舵をきった。
9月12日厚生労働省は介護保険最新情報の中で「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」を打ち出した。詳細は介護保険最新情報を見てください。

急性期の医療から在宅医療・介護サービスが地域で適切に提供されるシステムが「地域包括ケアシステム」である。その中核を担うのが在宅医療でありその中に訪問看護は含まれる。在宅医療・介護サービスの中心に訪問看護が位置すると考えるとその役割の大きさと重要性は半端ない。
訪問看護ステーションがその役割を十分把握し、利用者及び関わる医師や介護職から頼られる存在であることを自覚すること。そして役割を十分果たせるようにすることが求められている。

2014年9月19日金曜日

残業が多いステーションは・・・

みなさんのステーションの毎月の残業時間どのくらいですか?

通常ステーションは、レセプト請求事務や主治医に提出する報告書・計画書作成作業のため月末月始は多少の残業になるのが通常です。

コンサルで平均残業時間を聞いたところ、黒字ステーションでは残業時間は少なく赤字ステーションでは多いということがわかりました。また管理者による職員の残業時間の管理ができていないことも明らかになりました。労務管理から残業は職員が管理者に届け出たうえで管理者の承認により可能になります。にもかかわらず職員の残業時間の管理ができないというのはどういうことでしょうか。管理者の労務管理が不十分であることが浮き彫りになりました。

最も多いステーションでは一人の看護師が50時間していました。毎日2.5時間残業しています。ちなみに毎月の訪問件数は55件
一日に換算すると3件弱でかなり余裕のある訪問業務といえます。50時間の残業代、時給換算してみましょう。時給1,500円とすると毎月7万5,000円の残業代になります。固定給プラス毎月7万5,000円が給料として支払われるのです。

管理者として残業管理は大丈夫ですか?残業代の見直しは必至です。職員一人ひとりの働き方を十分把握し正当な残業なのかを吟味してください。

2014年9月13日土曜日

管理者として腹を括ろう

9月12日岩手県看護協会の管理者研修会の最終日担当として11日に盛岡に入りました。盛岡に行くと必ず駅の中にある「磯よし」にいきます。このお店は地元の新鮮でおいしい海産物を食べさせてくれます。毎年この時期にいきますがおいしさでうらぎられたことはありません。写真はさんまのお刺身と   
生うに丼です。両方とも本当においしかったです。

岩手県の管理者も他の地方の管理者に違わず、自ら進んで管理者になったのは27人中1人しかいなかったということです。このようなことは岩手県だけではありません。

法人からお願いされたから、他にできる人がいない順番だからなど管理者を受ける理由はさまざまです。しかし管理者を受ける最終の決断を下したのは管理者のあなた自身ではないですか?にも関わらずお願いされたから、私はやらされ管理者だからという姿勢をもったまま仕事を続けている、そんな管理者が多いのは現実です。

私は本当にそれでよいですか?と管理者に問いたい。
たとえやらされ仕事でも成果は求められるのです。岩手県の管理者研修会で、管理者として腹を括り成果が出る取組みをしようよとプレゼンしました。

2014年9月7日日曜日

在宅看取り 地域の傾向と対策

花壇のマリーゴールド
新潟県訪問看護ステーション強化事業のコンサルテーション、69%(45か所)のステーションが終了した。

その中でわかったことがある。それは在宅看取りに対する住民の意識の違いである。

新潟市は8区あるが、在宅看取りを希望する利用者・家族が多い区(地域)と最後は病院を希望する利用者・家族が多い区(地域)の違いが明らかになった。

在宅看取りの支援が訪問看護に求められているのだから、どのような状況でも在宅看取りするのは当然のことと考え訪問看護するのか。
それとも利用者や家族の希望を聞き取り、利用者のフィジカルアセスメントはもとより家族及び介護状況、生活環境のアセスメントをもとに訪問看護師としての判断をしたうえでどこまで在宅で過ごすのかを話し合い決めその決定に基づき入院時期を決めるのか。利用者と家族の意思を十分聞き取り、ターミナルケアに生かすことが求められている。

新潟市という限定した地域の実態だが、他の地域でも同じような傾向があると考えることができる。地域の実情を知ることでターミナルケアの実践に生かすことができる。

2014年8月30日土曜日

がん患者の高齢化と訪問看護

8月29日の読売新聞朝刊一面に国立がんセンター東病院が、超高齢時代のがん患者と家族の支援ノウハウの確立を目的として実施し、在宅患者で抗がん剤を服用しながら外来治療を受ける患者家族を対象とした大規模対面調査である。

がん患者のうち65歳以上の割合は約7割で支える側の家族は老々介護世帯が5割を超えるという。その中に軽度も含めた認知症の高齢者の割合は6割を超える。しかし介護保険サービスを受けている人は約1割で十分な支援をうけていないことがわかった。またそのような介護状況で家族訴えは「急変時に自宅で対応できるのか?」「膨大な治療の情報についていけないし、頭の整理がつかない」ことが明らかになった。

訪問看護を受けていれば急変時の対応への不安や治療の情報のわかりやすい説明にも対応できるのに、まだまだ在宅で療養するがん患者の訪問看護活用がすすんでいない現実が浮き彫りになった。
がん末期の在宅看取りの利用者だけが訪問看護の対象ではなく、調査対象である外来治療中で老々介護世帯やひとり暮らしのがん患者に訪問看護がいきわたるようなPRが求められている。



2014年8月19日火曜日

訪問看護ステーションのPR

見にくい写真ですが、これはバスの乗降口ドアに貼られていた訪問看護ステーションの広告です

このステッカーを見たとき、なんだかうれしくなりました。なぜかというとバスに広告を出し利用者獲得につなげようとする積極的な姿勢が見えたからです。

訪問看護ステーションのPR方法として、医師やケアマネ対象に顔と顔の見える関係を重視して行うことはもちろん有効ですが、今回のPRをブログに掲載したのは、循環バス地域が高齢化していることを見据えその地域に訪問看護ステーションの広告を掲載したという点です。

このような広告掲載はバスに乗る不特定多数の人が対象となり、訪問看護利用者獲得にはすぐにはつながりにくいこともありますが、訪問看護ステーションを知ってもらうのには良い方法だと思います。私はこのバスの循環地域の住人なので地域に複数の訪問看護ステーションが出入りしているのを確認しています。現在5か所以上のステーションが来ています。人口も多く高齢化率も高い地域ですからステッカー効果が期待できると考えます。みなさんの地域にあったPR方法考えてみたらいかがでしょうか!

2014年8月14日木曜日

来年の介護報酬改定の情報

来年の介護報酬改定で訪問看護ステーションに一番影響を与えそうな内容は、費用負担の見直しによる自己負担の引きあげと考える。
この見直しで介護保険制度創設以来初めて自己負担額が引き上げられる。実施されるのは2015年の8月からである。
2割負担になる利用者の年金収入は単身世帯で年金収入が280万円以上、これを1か月あたりにすると約23万円。
高齢者世帯である夫婦ふたり暮らしでは年金収入359万円、これを1か月あたりにすると約30万円。全認定者に「負担割合証」が発行されるので証明書の記載によって確認できる。

自己負担額が2割になる利用者数は全体の2割くらいといわれている。

報酬改定のとき利用者さんの負担が心配で加算等の算定が難しいという訪問看護師のみなさん、平成24年の内閣府調査
  • 一人当たりの1年間の平均支出は129万円
  • 1か月の在宅介護にかかる費用は6万9000円(医療費も含む)
  • 優先的にお金を使いたいと考えているベスト3は
  1. 健康維持や医療介護のため
  2. 旅行
  3. 子供や孫のため
  • 暮らし向きに心配のないと答えた高齢者は7割

そんなに困っている高齢者は少なく健康維持や医療介護のためにお金をかけてもよいと考えていることがわかる内容です。
この結果を踏まえ利用者への訪問看護提供を考えてください。

2014年8月4日月曜日

訪問看護を繋いでいく

大輪の花を咲かせたハス
2・3年前から「訪問看護師の高齢化」といわれてる。
高齢化って、どういうこと?と思うでしょ。

訪問看護制度創設から今年で22年、当時30代から40代で病院等から転身し訪問看護師になったいわゆる第一世代の人たちが50代60代になり現役を続けている。なかには70代以上の方もいる。まさに訪問看護とともに歩んできた方たちである。
このような方たちがあと1・2年で定年を迎えることになる。

訪問看護師や管理者のみなさん。
長い間の実践で培った訪問看護の神髄を後輩に伝えてください。

訪問看護師になった後輩の一番気がかりとしている緊急電話や緊急対応を少なくする看護、利用者や家族を支えるマネジメントやコミュニケーション、医師やケアマネなどとの密接な連携のとりかたなど諸先輩方の持つ高いスキルをあますことなく伝えてください。また管理者にはその役割と経営のノウハウを具体的に後継者に伝えてください。
みなさんは訪問看護を繋いでいく役割を担っているのですから。

2014年7月29日火曜日

管理者は数字に強くなろう!

オフィス萩原では今年訪問看護ステーションのコンサルを100件ほど実施する。すべて県の単独事業である。

コンサルではステーションの経営実態を示すバランスシートと訪問実績表等の数値を使用している。その内容から管理者の経営・運営手法と経営に対する考え方などがみてとれる。

たとえば
  • 利用者数が減少したのは、同じ地域に新規ステーションが開設したことと認識していても対処することなく1年経過し赤字。
  • 職員の訪問件数が月平均40件と少ないため暇を持て余し他人の悪口ばかりで職場の雰囲気も悪くなり退職者が続出。
  • ケアマネの依頼通りに訪問受けていたら月1回の30分訪問の利用者多く、案の定利用者からの緊急電話で夜間の訪問が多くなり職員の携帯当番の負担増。
これらは訪問実績表の数字にはっきりと表れているのだが、数字が示す原因な何かを見落としている。
管理者からよく聞く「私数字に弱いんです。」そんな言葉で逃げないでほしい。
ステーションの活動実態と数字は関連している。管理者として数字を読めるようになってほしい。





2014年7月20日日曜日

金沢でくまモンに出会う

金沢駅のイベント会場でくまモンに出会った。左の写真は多くのスタッフに囲まれイベント終了後控室前のくまモン。このあと最敬礼を2度し退場した。テレビでみるよりはるかにかわいかった。

人気者のくまモンの周囲には警備?するスタッフが10人くらいいたが、控室に移動する道中もスタッフの制止を振り切りながら、ベビーカーの赤ちゃんを覗き込んだり、パン屋のウインドウの向こうにいるお客さんに手を振ったりとそのサービス精神は半端なかった。


石川県は訪問看護ステーション協議会が立ち上がったばかりでの管理者研修会を企画だった。テーマは「赤字にならない事業所運営」だったが講師の勝手ながらテーマを「赤字にしない事業所運営」に変更した。赤字にならないとしないのでは雲泥の差がある。なぜなら赤字になるという表現は周囲からの影響を受けた結果を示し、その表現からは消極的な姿勢が見て取れる。
たかが言葉されど言葉である。
変更したテーマに沿い積極的に事業所運営に取り組める内容盛りだくさんにした。

2014年7月10日木曜日

管理者の経営能力チェック5項目

管理者の経営能力に関する研究報告書を読んだ。
管理者の経営能力はステーションの収益に関連することを立証した内容だった。
収益を上げている管理者の行っている内容は以下の項目だった。
  1. 地域特性のあらゆる情報を収集し経営戦略を策定している
  2. 明確な達成目標の策定と、それに伴う予算管理と決算を行っている
  3. 管理者の職務に責任をもっている
  4. スタッフの健康管理への十分な配慮をしている
  5. 訪問看護の質の向上のための十分な学習機会を与えている

訪問看護ステーションはビジネスである。(ビジネスという言葉を使うと抵抗を感じるという管理者は少なくなっていると思うが・・・)事業を安定したものにするためには収益を生み出すための管理者の経営能力が大きく影響することはいうまでもない。

収益がでなければ本来給与がでない。給与が支払われているのは法人の補てんによるものであるが、コンサルの中でそれを認識している管理者は残念ながら少ないし、認識していても解決するまでには至っていないことが多ことに驚かされる。

管理者のみなさん、今一度上記の5項目について考えて行動してください。






2014年6月30日月曜日

機能強化型訪問看護療養費の算定

新潟県の訪問看護ステーション強化事業を実施し6月1か月で20か所のコンサルを実施した。
6月時点での機能強化型訪問看護療養費Ⅰは1か所、Ⅱも1か所だった。全国的にみても1割程度と予測していたので現時点で2か所は予測どおりだった。たぶん全国的にも1割程度ではと考えている。

新潟県では機能強化型訪問看護療養費Ⅱの算定にあと一歩のステーションは数か所あったが、算定できないその理由は常勤職員数等の要件はクリアできているがターミナルケア加算及びターミナルケア療養費の算定数が足りないことである。管理者にその詳細を聞くとターミナルケアを行ったあと24時間以内に在宅以外で死亡に至らないことと支援体制が不十分だったことがあげられた。

ある調査でターミナル期の訪問看護利用者の5割は在宅看取りしているが、ターミナルケア加算とターミナルケア療養費の算定率は看取り数の3割以下という結果がある。看取りはしていたが報酬の算定要件を満たすことができなかったことがわかる。

支援体制は時々刻々と変化していく利用者の状態を家族へ説明し今後の予測を行い伝えともに看取りに取り組めるようにすること、そして内容を記録にとどめること。また対象の利用者の死に至るプロセスを把握し計画的に関わることで家族が望めば24時間以内に在宅以外の場所つまり医療機関で亡くなることもできその結果報酬算定は可能になる。
それゆえ機能強化型訪問看護療養費の算定は、訪問看護の力が試されているといえる。





2014年6月22日日曜日

利用者の状態に合った看護しようよ!

新潟県訪問看護ステーション強化事業のコンサルが6月16日から始まった。新潟県にある60%のステーション66か所が今年度から2年にわたりコンサルを受けることになっている。

初回は3日間で10か所のステーションのコンサルを実施した。
提出資料とコンサルの結果ある傾向が見えてきた。それは訪問看護師として利用者に必要な看護を実践し成果をあげることができずその結果として経営悪化や職員の職務満足の低下をきたしているということである。この傾向は新潟県だけに限ったことではないのはこの10年間コンサルを実施してきた者としての実感である。

在宅で療養する利用者が訪問看護うける理由は看護を受け状態安定ができること、その結果長く住み慣れた家にいることができる。また住み慣れた家でその最後を迎えることができることを目的としている。その実現ために看護実践の1回にかける時間と回数がどのくらい必要なのかを訪問看護師のアセスメントにより判断しその判断に基づき計画的に実施し成果をださなけれなならない。

しかし訪問看護が実施されていながら入退院を繰り返したり急変等を予測できないなど、必要なアセスメントや看護による対応が不十分でありその結果利用者数と訪問件数の減少による経営悪化。また短時間の訪問看護による状態変化の見落としによる緊急電話の増加が看護師の負担になっていることも多くみられる。このように利用者の状態に合った看護実践ができないことと経営状況と労働環境の悪化が関連していることはコンサルの提出資料の数値からも窺える。管理者のみなさんこれらの状況を見直すことをおすすめします。



2014年6月12日木曜日

訪問看護ステーション数増える


 
全国訪問看護事業協会から今年4月時点の全国の訪問看護ステーション数が発表された。
左は全国訪問看護事業協会の調査結果をもとに作成したグラフである。
平23年まで低迷していたステーション数であったが平成24年以降は急激な右肩上がりに増加していることがわかる。

要因は明らかではないが営利法人の参入の影響が大きいことは、この数年の開設主体別割合からも推測できる。
これからも増えていってほしい。



2014年6月1日日曜日

新潟県訪問看護ステーション強化事業始まる

6月になったばかりだけれど、路地には梅雨の花「紫陽花」が咲いている。先週からは真夏のような暑い日だったがそんな中咲いている「紫陽花」に季節を感じることができる。

6月の中旬から新潟県の事業が始まる。その全容は新潟県の113か所のすべてのステーションで働く訪問看護師の職務満足度調査と管理者の経営の意識調査、それとステーション管理者の手上げによる66か所の訪問看護ステーションのコンサルティングである。

新潟県は地域包括ケアシステムの充実を図るため平成25年から3年間の強化事業を実施した。新潟県は今までも管理者を含めた訪問看護師の教育に毎年予算づけをしてきたが、今回はそれまで以上の予算計上をしている。それだけ訪問看護ステーションへの期待の大きさを感じることができる。
この事業の受託者として訪問看護ステーションが地域での役割を十分果たすことができること、安定した経営と働きやすい職場としてのステーションができるよう支援を行っていきたい。


2014年5月26日月曜日

訪問看護ステーションのICT化

5月25日日曜日医学書院主催のICT化で「訪問看護」はこんなに変わると題したセミナーに参加した。
日曜日の午後とはいえ100名ほどの参加者でその多くはステーションの管理者で遠方からもきていた。

ステーションの実践報告、予算は県の事業費や法人の余剰金をもとにタブレット端末を活用したシステムによる情報共有や記録の効率化に取り組んでいた。
訪問看護1件に係る時間の中で約20%を占める記録時間。この時間が短縮されることで、看護師の業務負担軽減と残業代の削減はいうまでもない。また携帯当番時利用者ファイル等の持ち出しもなくなるので管理者上の負担も軽減される。また撮影機能の活用により、利用者から見えない褥瘡等を鮮明な画像で示すことができるなどのメリットがある。現場のタブレットの使用に際し利用者の反応は良好ということだ。

セミナーに出展していた会社からの情報によるとそんなに経費がかからないタブレット端末の導入もあるとわかり、今後タブレットの活用は訪問看護の質の向上や業務改善による働きやすさにつながる可能性を感じた。


2014年5月19日月曜日

精神科訪問看護療養費の改定

精神訪問看護は介護保険利用者も医療保険対応になったこと
ご存知ですか?
介護保険利用者は介護保険優先ということでしたが、今年度の診療報酬改定で介護保険利用者も精神科を標ぼうする医療機関の医師による精神科訪問看護指示書による訪問看護対象者は医療保険で算定できるようになりました。

認知症は対象外ですが、指示書をだしている医療機関で「精神科重症患者早期集中支援管理料2」を算定している場合は認知症であっても連携している訪問看護ステーションであれば医療保険での訪問看護ができるようになりました。

「精神科重症患者早期集中支援管理料2」の対象者は、重度の障害を有し長期入院や入退院を繰り返し病状が不安定な状態にある患者が対象であること、また連携するステーションではこのような利用者に対し円滑な対応対応ができるように定期的な他職種会議(出来うる限りの利用者及び家族の同席)の開催とその際の具体的な支援内容を含む看護計画の説明と交付、利用者や家族等の同意を得て利用者の病状や治療計画や直近の診療内容や緊急対応に必要な診療情報の提供がなされていることが要件となっています。

精神障害者等の在宅移行は平成21年移行遅遅としてすすんでいないことが今回の改定となったといえます。すでに精神科訪問看護を実施しているステーションだけでなく、精神科訪問看護療養費算定の届け出を考えているステーションは今回の報酬改定の機会を逃さないでください。なぜなら精神科訪問看護に取り組んでいるステーション数は地域でまだ少ないのが現状です。他のステーションとの差別化や今後も増える認知症も含めた利用者確保につながります。

2014年5月9日金曜日

ちょっと考えて!衛生材料の供給体制見直し

衛生材料等の供給体制の見直しがありました。この見直しは長年のステーションからの要望に基づいています。
見直しにより医師から衛生材料の供給がスムースになりステーションは今までよりもやりやすくなると思っているかもしれませんが、ちょっと考えてください。

この体制は医師の指示で利用者に衛生材料の供給をするために保険薬局の薬剤師が利用者宅に訪問すると保険薬局の報酬が発生するしくみになっています。

詳しく説明すると
今までは訪問看護師の直接の依頼で医師への衛生材料の依頼により行われていましたが、見直しにより医師と利用者の間に保険薬局が介在した場合「居宅療養管理指導」の算定ができます。
ですから上記の届け出をしている保険薬局から衛生材料の供給を受けた利用者には負担が生じることになります。薬剤師の訪問を受けていればすでに上記の管理指導は算定されていますが、このような体制のもと新たに衛生材料の供給をうける利用者には負担が生じることになりますからご注意を!
もちろん従来どおりの直接医師への依頼による供給もできます。

2014年4月30日水曜日

管理者として

1か月に一回実施し3回を1クールの管理者研修会が4月下旬で終了した。参加したのは開設間もないかこれから開設するステーションの管理者だ。
研修では自らのステーションの課題抽出および課題解決の優先度を決める作業をしたが多くの管理者の示してきた課題と優先度には少々考えさせられた。それは管理者として何をすべきかということが明確でなかったからだ。

今回の研修会に参加した管理者は自ら管理者になりたかったのではなくやらされていることが目的意識をあいまいにしている。しかしこのような状況は今回の受講生に限ったことではない。なぜなら他の研修会参加の管理者に聞いてもほとんどがなりたくて管理者になった訳ではないと答えるからだ。しかし管理者となった以上ステーションの運営・管理をまかされているものとして自らするべきことを考え実践し成果を出す責任があることを自覚してほしい。自覚することで管理者としてするべきことが見えてくるからだ。

管理者として
  1. 管理者としてステーションを運営していく目的はなにか?
  2. 目的達成の阻害になっている問題は何か?
  3. その原因は何か?
  4. また解決するための現実的かつ具体的な方法は何か?を考え実践することである。
やらされ仕事では成果がでないだけでなくステーションの存続にも影響します。管理者として今一度考えてください。




2014年4月22日火曜日

ロジカルシンキング そのⅡ 日常業務での気づき




空気が冷たい日が続いていますが、明るく咲き誇る花を見ると春を感じますね!
本題に入ります。
ロジカルシンキングって何?と言う訪問看護師多いと思います。
ロジカルシンキングは言い換えれば論理的思考による問題解決手法です。

論理的思考をわかりやすく説明すると、経験や知識をもとに筋道をたてて考えることです。
日常業務で何か変だな?と気づいたとき「後で考える」「そんなことより仕事をこなす」などせずすぐに「なぜ?」「どうして?」と考えることです。何か変だな?と気づいたことには問題が潜んでいるからです。
たとえば「先月バタバタと忙しかった割に事業収入は減っているなぜ?」こんな時問題となる項目を以下のように考えます。
  • 利用者数に対する訪問件数の減少
  • 短時間の訪問件数の増加
  • 加算算定のチェックもれ
  • 新規利用者受け入れ時の調整不足
  • スタッフの訪問件数と移動距離
ステーションの場合は複合的な原因が多いので問題を単体で考えないでください。問題が明らかになったら過去の訪問実績との比較・ケアマネとの連絡調整の方法・スタッフからの情報収集などにより解決の糸口を見つけます。解決の糸口がわかったら解決に向け実行あるのみです。

2014年4月10日木曜日

管理者のロジカルシンキング そのⅠ

新年度になりました。
今年度の診療報酬改定で新たに創設された特定機能型訪問看護療養費が算定できる大規模ステーションはどのくらいあるのでしょうか?

2月から4月の始めにかけ地方の管理者研修に行ったとき、受講生に特定機能型訪問看護療養費の算定ができるかどうか聞いたところどの研修会場でも80名くらいのなかで1名程度でした。これらのことから推測すると当初の予測の6割には達しないことが窺えます。その要因として看護職員数は常勤職員の実数であること、居宅介護支援事業所が同一敷地内にあること、またターミナル加算の算定が年20件以上の厳しい要件が算定の障害になっているようです。

これらの要件をみたすステーションは大規模だけでなく重症者数やターミナル加算数により示される看護職員の看護レベルの高さと統一性が求められているといえます。これらは高いハードルといえます。しかしこのような報酬を設定したことの意味つまり医療機関の報酬変更による在宅移行のさらなる早期化と訪問看護利用者の重度化等を十分考え高く設定されたハードルを越える努力をしなければ報酬算定はできないのです。

算定要件がもう少しで満たすことができるのであれば算定できるようにするためにはどのようにすればよいのか?という考え方をすること、また今はできないけれど今後算定できるようにするためにはどのような取り組みが必要なのか?このような考え方で現状を変え乗り切れるようにするのが管理者なのです。
このような考え方はロジカルシンキング(論理的思考)といわれています。もう少し突っ込んだ内容は次回のコラムで・・・

2014年4月2日水曜日

新潟県の新たな取り組み 訪問看護ステーション強化事業

新潟県は平成25年度から訪問看護ステーション強化事業を実施している。平成26年度の事業内容は年3回の研修と県内ステーションの管理者および訪問看護師の実態調査と手上げによる県内80か所のステーションを対象としたコンサルティングである。

強化事業の説明会のために年度末の3月29日土曜日新潟県に行った。越後湯沢(新幹線の窓から撮った写真)にはまだ雪が残っていた。


新潟県の訪問看護ステーションも他県同様毎年1割程度増加しているが県としても 在宅医療推進と地域包括ケア体制の構築をすすめるうえで医療と介護サービスのマネージに訪問看護の役割は大きいとし、そのためには数を増やすことだけでなく24時間365日訪問看護を安定供給できるステーションをめざし現在稼働している113か所のステーションの経営安定化と規模の拡大のための強化事業を立ち上げた。成果を出せるよう支援したい。

2014年3月26日水曜日

今年度介護報酬の一部も変わります。

消費税が8%になることに伴い診療報酬だけでなく介護報酬も変わる。訪問看護費は以下の通りである。
  • 20分未満と30分未満がそれぞれ2単位上がる。
  • 30分以上60分未満は4単位上がり834単位となる。
  • 1時間以上1時間30分未満は6単位上がり1144単位となる。
  • 理学療法士などによる訪問は2単位上がり318単位となる。
また3月20日厚労省から出た同一時間帯に複数の訪問サービスを利用した場合の取り扱いについて、利用者の心身の状況や介護の内容から訪問介護と同一時間に訪問した場合でも同様で30分以上60分未満は834単位となる。
変わるのは診療報酬だけではないのでご注意を!

2014年3月25日火曜日

名古屋で会った管理者たち


  3月23日日曜日、愛知県訪問看護ステーション連絡協議会の研修で名古屋にいきました。
名古屋に行くのは5年ぶりでした。
前回の研修会でと何人かの受講生が声をかけてくれました。

「訪問看護ステーション経営のコツをボロボロになるまで読み込んでステーションを大きくすることができました。」
「起業しようかと悩んでいたとき、背中を押されました。来年度は複合型サービス開設を計画しています。」
「訪問看護ステーション経営のコツ、新しいのを出してくれませんか?」などうれしい報告ばかりでした。こんな時が講師冥利に尽きるというんだな!とつくづく感じた日でした。

2014年3月16日日曜日

平成26年度診療報酬改定の方向性を知ろう

平成26年度診療報酬の内容が明らかになってきた。今回の改定の基本的な考え方は以下のとおりである。

介護保険制度でうたわれている地域包括ケアシステムだが、今回の診療報酬改定で介護保険制度の枠内だけで完結できないとして診療報酬改定にも地域包括ケアシステムの考えを導入した。

地域包括ケアシステムは医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者を地域で確実に支えていくために、訪問診療・訪問歯科・訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問薬剤指導などの在宅医療、自宅だけでなく高齢者住宅・グループホーム・介護施設やどこでくらしていても必要な医療が確実に提供されること、それらのサービス間のネットワーク化とマネージを不可欠としている。
                         平成25年8月社会保障制度改革国民会議報告書(抜粋)

この方向性をもとに在宅医療サービスと介護サービスを結びつけマネージできるのはどの職種なのかと考えた。

在宅で療養者のほとんどは高齢であり何等かの疾患を抱えている状態から医療サービスは必須である。このような療養者はどのような支援者を信頼し相談するのかと考えると医師は多くの高齢者にとって文句なしに一番であると考えるが、ある調査では医師以外で気軽に相談できる職種は?という質問に対し看護師は医師の次に評価されていた。

このような評価をもとに訪問看護師は地域包括ケアシステムで多職種との連携で中心的な立場にあることを十分認識し今後のシステム構築に積極的に取り組んでほしい。

2014年3月7日金曜日

機能強化型訪問看護療養費算定と管理者の裁量

春とは名ばかりの真冬の寒さに凍える今日この頃ですが
菜の花の黄色は混じりけなしで温かく本当にきれい!春を感じる花です。
そして希望を持たせてくれますね!

ところで皆さんのステーションは機能強化型訪問看護療養費Ⅰの算定できますか?
利用者130人看護師15人で在宅療養支援診療所併設のステーションの管理者に算定できるかと聞いたところ算定可ということでしたが、一番気がかりだったのは年間20以上の看取り数だったそうです。

年間20件以上ということは1か月約2件の看取りをしているということになるので常時急変の可能性のある利用者が2名以上いること、それに加え厚生労働大臣が定める疾病や状態にある利用者10人以上がいるステーションになります。このようなステーションで携帯当番する訪問看護師の業務負担は相当であると考えられます。

今までの訪問看護管理者療養費の初日の報酬は7,300円、機能強化型訪問看護療養費Ⅰの初日の報酬は12,400円。
この5,100円の差額を職員である訪問看護師に還元できるようにするのは管理者の裁量です。
機能強化型訪問看護療養費Ⅱでも同様です。

2014年2月28日金曜日

研修講師10年目 本当に多くの管理者に会った

今年、研修講師と訪問看護ステーションのコンサルタントの仕事10年目を迎えます。
もちろん財団当時も含めてですが
こんな長く続けられたと感慨はひとしお。

そこで今まで研修等でどのくらいの管理者を含めた訪問看護師と会ったのかと研修回数と受講者で計算してみたら約3万人でした。本当に多くの管理者や訪問看護師に会ったんだと感激!

1対数十人という研修会ですがお顔に見覚えのある受講生も増えてきました。そんな受講生から「先生あと1年で定年退職なんです。」と、まだまだ管理者としての経験知で後輩の人材育成できるのにと残念に思ったり、実践の成果を喜びとともに伝えてくれる管理者には「よくがんばったね!」と励まし互いに喜び合う。
こんな10年でした。

この10年間私が大切にしてきたことは
  • 現場と近い距離で教える
  • 目からうろこの内容を伝える
  • 即実践できる内容を教える
そして今後の私の願いは「さまざまな地域の研修会で毎年同じ受講生に会える」です。毎年同じ受講生に会えるつまりその方たちが辞めていないということなのです。管理者が辞めないことはステーションの存続だけでなく今後の発展が望めると考えるからです。
「継続は力なり」この言葉を信じまた新たな気持ちで邁進します。

2014年2月21日金曜日

報酬改定 医療機関の報酬も注視しよう

今回の報酬改定は不必要な入院を減らし在宅医療の充実を促す方針を明確に打ち出している。
訪問看護ステーションへの影響が考えられる医療機関の報酬とステーションでの対策を考えてみた。

★病床再編
  • 急性期病棟の36万床から27万床のベッド削減 
  • 地域包括ケア病棟の創設による入院後2か月以内の在宅移行の高い評価

★主治医の役割評価
  • 診療所や200床未満の中小病院の医師が主治医として高血圧・糖尿病・脂 質代謝異常・認知症のうち2つ以上の疾患を抱える患者の健康管理

これらの情報からステーションの対応を考えよう!

急性期病棟のベッド削減、今でも重症で医療依存度が高い患者の在宅移行で訪問看護での対応が多くなっているが、その傾向がもっと強くなることが想定できる。
病棟への積極的なアプローチによる利用者の確保と退院時共同指導における訪問看護側のイニシアティブによるスムースな在宅移行を可能に。

地域包括ケア病棟は脳卒中などの患者の在宅移行促進を目指すので特にPT等のセラピストの在宅でのステーションによるリハビリの継続をPRする。

診療所等の医師に高血圧・糖尿病・脂質代謝異常・認知症の訪問看護の効果をPRする。

訪問看護療養費の改定だけでなく医療機関の改定の動きに注視し利用者確保を含めステーションの経営に反映できるようにしよう!

2014年2月12日水曜日

こんなところが変わる訪問看護療養費

診療報酬改定の内容が少しずつ明らかになってきた。報酬額が出るまでにあと少しのようですが、今の段階での訪問看護療養費の変更・新設内容は以下の通り

●同一建物への訪問看護療養費Ⅱの改定
  • 同じ日に2人の利用者への訪問看護を行った場合と同じ日に3人以上の利用者への訪問看護を行った場合の報酬が変わる。
  • かつ週3日までと週4目以降で報酬が違う。
   対策⇒訪問順路の変更の検討が必要

機能強化型訪問看護ステーションの評価
  • 機能評価型訪問看護療養費Ⅰ
  • 機能評価型訪問看護療養費Ⅱ
  • 算定要件
  1. 常勤看護職員数
  2. 24時間対応体制加算の届け出
  3. ターミナルケア療養費又はターミナルケア加算の算定数
  4. 特掲診療科の施設基準の別表第7に該当する利用者数
  5. 訪問看護ステーションと居宅介護支援事業所が同一敷地内にありかつ、その訪問看護ステーションの訪問看護利用者の中のケアプランが必要な利用者のうち一定度の利用者に対してケアプランを作成している。
  6. 地域住民等に対する情報提供や相談、人材育成のための研修を実施していることが望ましい
  • 従来型を含め7月1日に届け出事項の報告
      対策⇒1・2.3.4.6の要件を満たしている場合居宅介護新
       事業所をステーションとの同一敷地内にする。休止や 
       廃止していたら再開する

  
●在宅患者訪問点滴注射管理指導料の改定
  • 医師側が介護保険の利用者も在宅患者訪問点滴注射管理指導料60点が算定できる

●在宅における薬剤や衛生材料等の供給体制について
  • 供給体制システムができたことを開業医を含む医療機関と在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている薬局への周知
  • 訪問看護計画書・報告書への衛生材料の必要量及び使用実績を記載し主治医への報告する
  • 従来通り医療機関から患者への供給もできる
  対策⇒利用者への衛生材料の十分な供給が可能になるよう   
       医師及び薬剤師との連携強化
●在宅における褥瘡対策の推進
  • 訪問看護管理療養費の新設算定要件となる
  • 褥瘡の危険因子の評価と危険因子や既に褥瘡を有する利用者に対する適切な褥瘡対策の看護計画の作成、実施及び評価を行う
  • 褥瘡のある利用者等の毎年7月1日に届出書記載事項に基づく報告
 対策⇒褥瘡のアセスメントによるケア計画とケア内容の見直し
     

厚労省は今回の訪問看護療養費の改定においても高いハードルを課してきた。たとえば新たな特定機能型訪問看護療養費では居宅介護支援事業所が同一敷地内にあることをその算定要件にしている。多くのステーションでは経営上の課題からすでに居宅介護支援事業所を休廃止していると考えられる。しかし他の要件をクリアしたとしてもこのハードルを越えない限り特定機能型訪問看護療養費の算定はできない。であるならばステーションとしてどのように対応するのか?ということを問われているのである。

2014年2月3日月曜日

女子会

1月末、銀座で女子会なるものがあり参加した。
集まった女子は30名ほどで会社の社長さん施設長など起業家。
左の写真がそのときの様子。

今までの取材で多くの女性管理者に合ったことが企画のきっかけで高齢者住宅新聞社が初めて主催した。

早めに帰ろうなんて考えつつ恐る恐る会場入りした私だけれど最後の写真撮影にしっかりおさまった。
多くの方と名刺交換し「仕事内容」「起業した理由」など話した。
参加全員の自己紹介ではそのプレゼンのうまさに驚いた。
仕事への前向きでひたむきな姿勢が魅力的だった。なによりも女子たちの強いエネルギーと放つオーラに圧倒された2時間だった。

2014年1月26日日曜日

訪問看護を知りたい税理士たち

1月24日先週の金曜日TKC全国会の研修で福岡にいった。
TKC全国会は税理士およぼ公認会計士1万人を有する国内最大級の職業会計人集団である。

この研修講師を受けるにあたり躊躇した。
今まで研修講師のほとんどが看護職を対象としていたこともあり、税理士さんがなぜ訪問看護について知りたいのか?またどのようなことを知りたいのかと考えた。しかし最近では訪問看護ステーションの会計を税理士等に依頼するステーションも多くなっている、税理士が訪問看護ステーションを開設していることなども考え訪問看護を知ってもらう良い機会と思い引き受けた。

訪問看護の役割、訪問看護業務内容、訪問看護ステーションで働く看護師たちについてできるだけわかりやすく伝えるようにした。共通言語がある看護職を対象とした研修では伝える言葉を考える必要はないが今回はわかりやすい言葉を選ぶ必要があるため言葉を選びながら話したが反応は乏しく少々不安になったが、訪問看護について十分伝わることで、税理士が管理者に示す経理上の数字と看護実践が結びついていけば管理者はもっと積極的に経営にかかわることができるし税理士と良好な関係づくりができると考えながら伝えた。
また今後訪問看護ステーションに関わる税理士と管理者とのコミュニケーションの助けになればと思いながら伝えた。

この研修は大阪と東京で行われる。もっと多くの税理士たちに訪問看護を伝えていきたい。

2014年1月23日木曜日

報酬改定

2月始めには報酬改定の詳細がでるようだが
今のところ以下の4項目がステーション関連の内容である。
  1. 特定機能型訪問看護ステーション
  2. 衛生材料の供給
  3. 褥瘡の発生報告と発生リスクの評価の実施
  4. 在宅自己注射指導管理の評価
特定機能型訪問看護ステーションの評価の報酬で増収可能なステーションが多くなるだろう。

また看護に必要な衛生材料の供給体制のシステム化が進めばステーションにとって看護提供がよりスムーズなるだろう。

在宅での褥瘡ケアの評価により早期発見や予防看護の強化につながり訪問看護師のスキルアップにつながる。

またDMなどの自己注射指導管理の評価が特別管理加算算定に結びつくことなるかもしれない。

このように今回の報酬改定もステーションの経営に良い影響を与えてくれるようだ。報酬や算定要件の詳細が出てくるのを待ちたい。


2014年1月6日月曜日

今年は医療保険改定

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

今年は医療保険の改定の年です。
機能強化型訪問看護ステーション(仮称)、地域包括ケアシステムの構築の中心的役割を担うステーションとしてどのような評価で報酬がつくのか。報酬等詳細は2月末になる予定です。

4月以降訪問看護利用者に影響を与えるのが、70歳から74歳の高齢者の医療費負担が1割から2割になること(一部の対象者は除く)それに加え消費税が8%になります。

このような負担増が原因で訪問看護の利用を控えるという現象が過去にも起こっています。訪問看護が利用者の在宅療養にとって必要不可欠という認識がないと、費用がかかるからということになってしまいます。現在の利用者の訪問看護回数の減少を防ぐ対策考えましょう。