2015年11月29日日曜日

利用者さんのための訪問看護

今回、訪問看護とは少し違う観点で考えてみた。首都圏を中心に営業しているある高級スーパーは安さを売りものにしている大手スーパーを抜き年商600億円越えといわれている。そのスーパーの経営理念は「すべてがお客様のため、お客様に満足していただく、喜んでいただくそれだけを目指す」そのためにお客さまの期待にどう応えていくかを常に考え対応しているのだ。これらはビジネスにおける基本の考え方である。

「利用者さんのために」これは訪問看護師さんの常套句になっているが、具体的に利用者さんのための看護を満足していただける看護の提供はなされているのだろうか?利用者に必要な看護は何か?あるいは利用者の看護へのニーズは何か?を常時考えそれを実践しようとしているのかどうかということだ。

疾病と障害があり頼れる家族は近くにいない一人暮らしの男性、ショートステイ以外の日は毎日のように緊急コールをしてくる。具合が悪い、トイレまでいったが動けなくなったなど訴えはさまざま。老衰の母親を介護する長男、医師から今後の経過を聞き定期的な往診も行われているが、食事量が少ない、状態が悪いようだと緊急コールが頻繁にあるこんな事例の看護は?

これらの事例に共通している看護上の問題点は、在宅の療養生活あるいは看取ることへの不安といえる。しかしこのような事例は往々にして訴えが多い利用者や介護者とレッテルを張られその都度の対処を行うことが多くなり、コールしてくるその利用者等の本当のニーズのアセスメントがなおざりになっていないだろうか?。

フィジカルアセスメントとともに、利用者等が何を考え何を不安に感じているのか?を聞き取り看護に反映することが訪問看護の本質ではないだろうか?

2015年11月20日金曜日

岩手県サードレベルで

11月17日は、岩手県看護協会のサードレベル研修だった。今回の研修は公開講座で参加者は訪問看護ステーション管理者と医療機関で働く看護師長48名とサードレベル受講者17名で65名だった。

私の担当は「看護の起業」だったが、サードレベルの受講生の医療機関では訪問看護ステーションを有していなので、訪問看護の理解を深める内容構成とし、ステーションのアウトラインから始めその中に成果を出している管理者のエピソードをちりばめた。

ステーション管理者の中に起業した看護師が3名いたが、それぞれ経営も安定しておりさらなる新しい事業を立ち上げようとしている方もいた。頼もしいかぎりだ。

さかのぼること23年前、訪問看護制度の創設時に多くの看護師は「訪問看護ステーションは看護師が経営者としての手腕を発揮できる事業だ」と喜ぶとともに看護師の起業へのモチベーションが高まったと聞いている。

訪問看護ステーションは看護で利益をあげ看護で社会や地域に貢献できる事業なのだ。
みなさん看護の力、試してみませんか?


2015年11月13日金曜日

平成28年度診療報酬改定情報

社会保障審議会医療保険部会・医療部会、平成28年度診療報酬改定の基本的視点とあらあらの方向性が示された。地域包括ケアシステムの推進を見据えた内容になっている。

訪問看護に関しては、機能強化型訪問看護ステーションの要件見直しの方向性がでている。機能強化型訪問看護ステーションの届け出は平成26年12月時点で252か所(約3%)。機能強化Ⅰが108か所Ⅱが144か所である。届け出がない県も8県あるそうだ。届け出が少ない一番の理由は「看護職員数が少ない」、次に在総診やグループホーム等の看取り加算との兼ね合いで「ターミナル療養費・加算の算定件数が少ない」ことによる。看取りに関しては、看取りの実績を評価できるようにして算定要件を満たしやすくする可能性はあるようだ。また、小児の訪問看護をおこなっているステーションは全体の3割程度と少なく、年々増え続ける小児への訪問看護の提供に対し評価する動きもでてきているとのことである。このような動きは訪問看護への期待の大きさを示しているともいえる。今後の情報を注視していきたい。

2015年11月2日月曜日

稼ぐ訪問看護ステーション

平成26年介護サービス施設・事業所調査の概況が発表された。調査は平成26年10月1日現在の状況でまとめられたものである。訪問看護ステーション数は7,744か所。

ステーションの規模別では利用者100人以上の割合が約15%で大規模化は徐々に進んでいるし、その中で利用者160人以上のステーションも約5%あった。開設主体別では予想どおり医療法人立32.5%営利法人立40.3%で営利法人立訪問看護ステーションが上回った。営利法人のステーションへの参入数は平成23年ごろから多くなっていたが3年間でこの業界を席巻していた医療法人立を抜くことになったのである。

営利法人の中には、看護師の起業も含まれているがその割合いは不明だ。大規模ステーションで起業後4年で年商3億円以上を稼ぐステーションもある。また雇われている管理者で年商1億円以上を稼せぐステーションもある。

このような管理者が出てきたことは、管理者の支援を行っている者として頼もしい限りだ。これらの管理者の共通点は、ガバナンスが明確であること、数値目標を含めた目標への取り組みが明確なことだ。ある管理者は「利用者が訪問看護で幸せになれること、そして職員の生活が幸せになること」を最大の目標としていると言っていた。
全国の管理者のみなさんがんばってください。