2011年8月31日水曜日

母の介護

 母は87歳、2年ほど前に父が亡くなってから一人暮らしをしている。いつも母の世話をしている姉が旅行に行くことになりその間母がひとりでいることがが心配ということでその間実家に行った。認知症による物忘れがあることは姉から聞いていたし、時々母の家を訪ねたときや電話の応対から認知症の進行の察しはついていたが、数日一緒に生活すると認知機能障害の状況は想像をはるかに超えていた。
家事で指示なしでなんとかできるのは洗濯だけ。食事の支度や家の掃除や定期的なゴミ出し買い物などは誰かの支援がなければできなくなっていた。また同じ品物の購入や鍋焦がしは日常的であることも掃除をしてわかった。今まで一人で生活できたのは近くに住む姉の介護支援によるところが大きかったと痛感した。

元気なころには社交的で話好きだった母であるが、言葉少なく閉じこもりがちになっていた。自己中心的な行動が多く今までの優しく周囲に気配りするしっかり者の母とはまったく違う人格になっていた。また徘徊や妄想などはないものの、物忘れはかなり強く同じことを何度も繰り返すなど認知機能障害は中程度かそれ以上と予測できた。

実は姉から約半年前から母の認知症状の進行について聞いていたがこれほどまでとは思っていなかった。年齢的なこともあるなどと言っていたのが悔やまれるほどだった。

実家から帰る前日、母にこの数日間の状況を話し地域の認知症専門医への早期受診と同時に介護認定の申請をすることを勧めた。母は観念したように姉妹で話あい今後のことを決めたら従うとその時は言ってくれた。これで母の認知症治療の第一歩の始まりである。今後母からの受診拒否等はあるだろう。しかしその都度姉妹で決めたことだからと説得し治療を勧めるしかないと考えている。

訪問看護の現場にいたころは認知機能障害のある利用者に対し早期受診を勧めていたが、身内のことになるとこれほどまでに状況判断が鈍るということを実感した数日であった。

2011年8月19日金曜日

おすすめドキュメンタリー映画「チェルノブイリハート」

いつもなら管理者研修で地方に行くことが多い週末ですが812日金曜日は珍しく出張なしの週末だったので、13日土曜日は公開初日の「チェルノブイリハート」を観にいきました。

「チェルノブイリハート」はドキュメンタリー映画です。25年前にチェルノブイリで起きた原子力発電事故の影響を受けた子供たちの今を映しています。
「チェルノブイリハート」というのはチェルノブイリ原発事故後、生まれながらに心臓に重度の奇形がある子供を総称する言葉です。心室中隔欠損等の心奇形の子供約7,000人が手術を待っているそうです。でも残念ながらこのような子供は、アメリカから派遣された医師による手術を待つ間に毎年200人以上亡くなっているそうです。

チェルノブイリから約80キロ離れたベラルーシでは、事故後「チェルノブイリハート」の子供だけでなく、遺伝子異常による口蓋裂や水頭症などの奇形児の発生率が多く健康な赤ちゃんの生まれる割合は1520%、たとえ健康で生まれたとしても免疫力の低下でさまざまな病気になりやすいと産婦人科医は話していました。子供の甲状腺がんの発症率も3040%と極めて高いものでした。

チェルノブイリから約200キロ離れた地域の高校生への内部被ばく調査、セシウムが高かった高校生に日常食べている食物を聞き毎日食べているいちごジャムを測定、その結果いちごジャムは高濃度のセシウムに汚染されていたため今後食べないようにと厳重注意する場面もありました。

とてもショッキングな映像で構成された「チェルノブイリハート」でしたが、放射能汚染の怖さと放射能に対する認識の甘さを知る機会を与えてくれました。

2011年8月10日水曜日

介護職の痰の吸引等医行為の教育プログラムの枠組み

7月22日厚生労働省が示した省令では、介護職員実施できる行為は痰の吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)経管栄養(胃ろう・腸ろう・警備経管栄養)と明記されました。介護福祉士は基本研修として講義50時間と各行為の演習を養成課程で行うこと、介護福祉士試験で合格後に研修登録実施機関で実地研修を行うことが定められました。
介護福祉士以外の介護職員の研修プロクラムの枠組は、以下のとおりです、
     痰の吸引と経管栄養の対象行為すべてを行う
     痰の吸引(口腔内と鼻腔内のみ)と経管栄養
                (胃ろうと腸ろうのみ)
     特定の利用者に対して行う実地研修
この3種類の研修が設けられました。この研修は登録実施機関が研修や演習を実施することになります。このように介護職の吸引等の医行為への業務拡大へ向けての研修プログラムの枠組みができています。

研修プログラムの内容ですが①の介護職の吸引等の行為へ限
定はされていませんが、②では吸引と胃瘻の行為の内容が現
定されていることがわかります。また③は医行為の対象が特
の利用者に限定されていることがわかりますまた介護職が
行う吸引等の医行為は対象者や実施できる行為容が限定され
ているということがわかります。

これらのことから考えられることは、様々な研修プログラムを受けた介護職が在宅の現場で働く可能性が高いこと、研修プログラムを受けたとしてもそのスキルは②③では限定的であるといえます。

このような研修プログラムから考えられることは、介護職の
教育内容を把握したうえで訪問看護連携し指導することが重
要と考えます。それに加え訪問看護師が行う吸引等の医行為
介護職の行う吸引等の医行為と明らかに違うことを実施す
るケアで利用者や家族に示すことです。


2011年8月3日水曜日

報酬改正に強い訪問看護ステーションになろう

平成24年は訪問看護ステーションが制度化されて20年になります。医療保険だけで訪問看護を実施してきた訪問看護ステーションにとって平成12年は介護保険制度の導入の年でした。その後2年ごとの医療保険の報酬改正と3年ごとの介護保険の報酬改正が続き、平成18年には医療・介護のダブル改正がありました。このようなダブル改正の年に訪問看護ステーションはさまざまな影響を受けてきました。訪問看護ステーションは制度による事業なので改正の影響はやむを得ないと考えます。しかしこれほど報酬改正の影響が大きい事業は他にあるでしょうか。もちろん医療機関も報酬改正の影響を受けると思います。しかし訪問看護ステーションのようにその数が停滞する、あるいは数の減少が著明にある事業が他にあるかということです。

一回目の平成12年は介護保険導入の年で株式会社の訪問看護ステーションへの参入も可能になり、ステーション数は1年間で1,000か所ほど増えましたが、その後のステーション数は伸び悩んでいます。この伸び悩みは平成12年以降毎年開設数と休廃止数がほぼ同数で推移していった結果です。休廃止の理由は利用者確保ができなった結果の赤字経営です。
二回目は平成18年の医療・介護のダブル改定です。いわゆる「7:1ショック」の影響により訪問看護ステーションから医療機関への看護職の転職が起こりました。その結果ステーションの人員不足による休廃止が増え結果平成19年のステーション数の減少が起こりました。この時全国の訪問看護ステーションの約4割で1人以上の看護職の退職者が出たという調査結果があります。(日本看護協会・訪問看護ステーション減少要因調査結果報告書)

このような状況から医療・介護のダブル改正の年が、訪問看護ステーションの経営に大きな影響を与えていることがわかります。平成24年は医療・介護のダブル改正です。介護保険は地域包括ケアシステムを改正の基本方針として、重度の要介護状態でも安心安全な在宅療養の継続可能にする24時間365日の医療・介護体制の整備とそのための介護職の業務拡大(吸引・胃瘻の注入)を行っていく方向性が示されています。
平成24年のダブル改正が迫っています。経営への影響を最小限にするために備えましょう。