2011年12月30日金曜日

平成23年を振り返って

萩原は今年の4月から一般社団法人を立ち上げ、訪問看護師および管理者の研修講師を中心とした活動を開始して9か月経過しました。おかげさまでこの間約30か所以上の研修講師として様々な地域に伺い、多くの訪問看護師のみなさんに会うことができました。

管理者を含めた訪問看護師のみなさんは、懸命に訪問看護を行いながら「このやり方でよいのか?」「このままでよいのか?」と悩みながらも、管理者研修等に時間を割き参加することで、今後の活動の方向性を見つけまた各地に帰っていくこと姿を見ることができました。それだけでなく、先に萩原の研修を受けてくれた管理者から実践報告を聞くことも多くあり、かえって励まされもしました。

今年を振り返ると、本当に充実した年だったと感じています。なんの後ろ盾もない一般社団法人「オフィス萩原」に研修講師の依頼をしてくださった多くの都道府県看護協会や都道府県訪問看護ステーション連絡協議会、そのほかの訪問看護の団体等に感謝しています。

今後も皆様のご期待やご依頼に添えるように、日々精進しますのでよろしくお願いします。

みなさんよいお年をお迎えください。

2011年12月19日月曜日

秋田県の管理者研修

12月16日から18日まで管理者研修で秋田県に行きました。左の写真は秋田のホテルから撮影した写真です。この時東北地方は大雪注意報の真っただ中でした。16日秋田に向かう時も飛行機は大幅に遅れ、秋田空港から秋田駅に向かうリムジンバスも大雪による路面凍結の影響で大渋滞、通常なら35分で秋田駅に着くところその約2倍以上かかりました。このような渋滞は雪の降り始めはよくあることだそうです。今回降った雪が根雪になるそうです。秋田の長い冬の始まりです。
秋田をはじめとして雪国の訪問看護は、スリップ事故など雪関連の事故で本当に苦労が多いですね。十分注意してください。


秋田県の管理者研修で、平成24年のダブル改定について今出ている報酬改定の方向性と改定内容、改定に向けての訪問看護ステーションでの対応を具体的に伝えました。出席した管理者は真剣に聞き、それぞれの訪問看護ステーションでどのように取り組んでいくかという方向性を決め研修会を終えることができました。

2011年12月9日金曜日

平成24年ダブル改定情報 介護保険

介護保険利用者の区分支給限度額はケアプラン作成に大きな影響があります。
そこで24年の改定では、訪問看護の「緊急時看護加算」「特別管理加算」を
区分支給限度額から除外するように11月24日厚労省が修正を加えたそうです。

訪問看護ステーションとしては、どうでしょうか?よくよく考えると区分支給限度額の中には
入りませんが、かといって利用者の負担が減るということにはなりませんし、
「緊急時看護加算」「特別管理加算」の一割は発生しますから
今まで利用者の負担を考えてと加算の算定ができなかったステーションでは
限度額外になったらもっと算定するのが難しくなることが考えられます。

今一度「緊急時看護加算」「特別管理加算」の算定要件等をよく読み、
来年の改定の準備をしてください。

2011年11月27日日曜日

たくましい宮城県訪問看護ステーションの管理者たち

11月26日宮城県訪問看護ステーション連絡協議会の管理者研修に行きました。本当は5月に開催を予定していた研修ですが、震災があったために11月に延期しました。


被災地の県に行くのは青森県、岩手県、福島県に次いで4番目でした。今まで被災地の研修では津波の被害にあった沿岸部のステーションからの出席はなく、津波の被害の状況も聞くことができませんでした。今回は被災された亘理や気仙沼からも出席していました。


家は半壊、倒壊したけれど家族とステーション職員の無事を確認できたところで、被災後4日目から訪問看護を開始したそうです。ステーションでも車は流されていましたから自転車を使い訪問したこと、震災後数日で在宅看取りを行ったこと、また記録用紙がないためカレンダーを記録用紙に使ったことなどを聞き「なんと強くたくましい人たちだろうか!」と圧倒されました。
一時は利用者が半減したものの今はまた以前と同じ利用者数に戻りつつあるということも聞き、被災地の利用者に訪問看護が届き始めていると実感しました。まさに地域に根ざす訪問看護です。

下記の写真は研修会に参加した管理者と一緒に撮影したものです。

2011年11月21日月曜日

平成 24年ダブル改定のミニ情報

今回は介護保険の報酬の情報をお伝えします。

訪問看護ステーションで行われているPT・OT・STによる「訪問看護71」「訪問看護72」の
訪問時間が3分割されます。今まで30分と60分の2分類が20分・40分・60分になる予定です。訪問実施時間が変更されることで、当然ながら単位数も変わります。また実施回数の上限を週120時間までとしています。

訪問看護利用者のリハビリテーションへの期待度は極めて高く、リハビリテーションを受けていれば安心という利用者側の「リハビリ神話」があるといっても過言ではありません。
たとえば毎日60分で訪問していた場合は週120分の制限により制約を受け回数は週2回になります。40分では週3回の訪問になります。リハビリテーションするにあたりPT等であっても一般状態の観察を行い計画に基づいてリハビリテーションを実施するのがセオリーです。このセオリーを守りながら利用者の満足度を高めるためのリハビリテーションを行うとき20分の訪問時間は妥当性が高いといえるでしょうか?

訪問看護ステーションの経営にとっても、PT等のリハビリ職員の訪問の事業収入に占める割合は極めて大きいことが明らかになっています。PT等の職員がいる訪問看護ステーションでは、今後の制度改定内容を注視しつつ経営面への影響を考慮し対策を講じてください。

2011年11月16日水曜日

平成 24年ダブル改定ミニ情報

今回は医療保険の改定内容をお伝えします。

特別指示書の対象を拡大する可能性がでています。
退院直後の状態不安定な時期に頻回な訪問看護を実施し円滑な在宅移行ができるように配慮したものといえます。対象の拡大となれば介護保険利用者や医療保険の週3回の対象者の在宅移行の支援になります。

次に複数名訪問看護加算の複数名に看護補助者という職種が新しくくわえられる予定です。
複数名訪問看護加算は以下の要件を満たした利用者に対し訪問看護ステーションの看護職・PT・OT・STが複数名で訪問看護を実施するものです。

1.厚生労働大臣の定める疾病の利用者
2.特別指示期間の利用者
3.重症者管理加算の対象者
4.著しい迷惑行為・暴力行為・器物破損行為等が認められる利用者

訪問看護の業務では看護専門職等が複数名で行わなくてもよいとする環境整備や体位交換等があるとし、その部分を看護補助者が実施できるようにするものです。もし複数名の職種に介護補助者が加わるとすればステーションで採用することになります。介護補助者には必要な教育を行うとしています。看護補助者の報酬は今までの加算額より低くなることはいうまでもありません。

今回の報酬改定内容はまだ決定したものではありませんが方向性として示されているものです。今後の動向に注視してください。

2011年11月10日木曜日

平成 24年ダブル改t定のミニ情報

今回は介護保険の現在までの情報です。

今まで日中の訪問看護と早朝夜間の20分の訪問看護を組み合わせて行うことになっていた20分以内の訪問看護が昼間も可能になるという方針が出されました。この短時間の訪問看護は医療依存度の高い介護保険利用者にきめ細かく対応できるようにという考えに基づいています。この短時間の訪問看護の実施については24時間の訪問看護体制があるステーションであることかつ週1回以上は20分以上の訪問看護を実施することが要件となるようです。短時間の訪問看護は20分以内で処置や短時間のケアだけを行うことになります。

単位数はまだ決まっていませんが、今までも「訪問看護1」による経営・運営への影響は強く、「訪問看護1」の多さによる看護師の疲弊、そして訪問看護の平均単価の低下による件数の多さに見合わない事業収入の少なさという現実があります。そして短時間で看護を行おうとする負担は看護師を精神的に追い込んでいます。20分の短時間訪問が可能になることは看護師をもっと追い込むことにはならないいかと危惧しています。

今後の具体的改正内容を注視しつつ、ケアマネジャーとの連携の在り方についても再考してください。

2011年10月31日月曜日

10月の出張先

10月の管理者研修を含む出張は奈良県を皮切りに北海道再び奈良県と続き、中旬は富山県で最後は大分県でした。10月の出張移動距離を測ってみたら約7,500キロ、驚きました。

10月27日は大分看護科学大学にある訪問看護認定看護師教育課程の4期生「在宅ケアシステム」の授業を行いました。上が教育課程の写真です。6名の少人数で和気あいあいとした雰囲気の中にも積極的に学ぼうとする姿勢を感じました。

出張といえばご当地グルメですが、今回は有名な「関サバ」を食べました。「関サバ」は今までのサバの概念を一蹴するほどの美味しさでした。切り身の美しさはもちろんのこと歯ごたえや旨味はサバの領域をこえていました。下が「関サバ」の写真です。きれいでしょう。

出張は移動距離が長いだけに大変ですが、ご当地グルメをいただくことができるのは楽しみです。多くの訪問看護師のみなさんに会えることもグルメ以上に楽しみなことです。


2011年10月26日水曜日

平成23年度富山県アドバイザー事業

以前このコラムで取り上げた富山県の訪問看護ステーション管理者教育の一環であるアドバイザー事業の第一回目が10月22日・23日の二日間にわたり行われました。
アドバイザー事業は平成19年から実施し今年で5年目です。この事業は管理者を対象とし訪問看護ステーションの経営・運営についてのアドバイスを行っています。下の写真はその時の様子です。
富山県の訪問看護担当者と富山県看護協会担当者、アドバイスを受ける訪問看護ステーションの管理者と萩原というメンバーですが、管理者だけでなく開設者である医師や直属の上司、あるいは事務長なども一緒のこともあります。

富山県の訪問看護ステーション利用者数は平成18年から22年で30%以上増えたこと、またステーションの規模別割合は小規模が一番少ないのが特徴的です。中規模や大規模ステーションが多いということはこれからも多くの利用者の受け入れが可能であることも示唆しています。
このような個別にかかわるアドバイザー事業は時間はかかるかもしれませんが案外ステーション再生の近道なのかもしれません。

2011年10月11日火曜日

管理者が行う労務管理

管理者研修で「労務管理」を学びたいと希望する声が多くなっています。「労務管理」はビジネスの5原則である人・物・金・時間・情報の「人」を管理することです。つまり訪問看護ステーションで収益を生みだすのは訪問看護の提供そのものです。そのための人員確保や訪問看護の質の向上のための教育、労働環境の整備や人事管理を行うことがステーションの労務管理です。
「労務管理」の内容を知っていますか?

1 募集・採用        
2 賃金・労働時間
3 人事考課
4 教育・研修
5 昇格・昇進
6 異動・配置
7 昇給・賞与
8 退職・再雇用

これら8項目は給与を決定、職員の雇用や人事権の行使,訪問看護の質の向上などすべての項目に対して決定し実行することを示しています。つまり管理者は労務管理業務を行うためにはこれら8項目の裁量権や決定権がなければ何も決めることができないというとこになります。たとえば裁量権・決定権がなければ職員採用も上司にお伺いを立てなければならない、どんなに頑張って収益をあげたとしても大幅な昇給や賞与への反映ができないということになります。

ある県の管理者研修でこの8項目すべてに裁量権・決定権を持っていると答えたのは受講生の1割でした。その1割の管理者は自ら法人を立ち上げてステーションを経営していました。彼女たちは、管理者としての責任の重さを感じながらもやりがいがあると断言しました。訪問看護ステーションの管理者が本当の意味で経営者になるには、雇用された管理者であったとしても労務管理業務のすべてにおいて権限をもつことではないでしょうか。

2011年9月24日土曜日

福島県訪問看護ステーション連絡協議会の管理者研修会

9月10日福島県訪問看護ステーション連絡協議会の管理者研修で郡山に行きました。会場は郡山市医療介護病院です。会長の堀内さんから「先生放射線量が多い郡山で申し訳ありません」と言われました。放射線量は確かに多い郡山ですが、そんなことは気にしません。
会場には51名の管理者がいました。福島県訪問看護ステーション連絡協議会開催の研修講師は今年で2年目です。今年の研修内容は「訪問看護のリスクマネジメント」でした。

昼食を摂りながら震災当時の話を体験者から聞きました。津波が襲ってくるときは「ヒタヒタヒタ」という静かな音と強い潮の匂いだけで、振り向くとそこに大きな水の壁が迫ってくるという鬼気迫る話を聞き鳥肌がたちました。立ち入り禁止区域の訪問看護ステーションやそのステーションで働いていた訪問看護師の状況は未だ把握できていないということでした。そのような状況の中でも、震災直後から多くの訪問看護師は休むことなく訪問看護を続けていたということです。頭が下がりました。

近く福島県民への震災当日からの生活実態調査の実施が予定されていることをある管理者が言っていました。震災後も通常と変わりなく訪問看護業務をしていたから被ばくしている可能性は高いと思うしどのような結果がでるか心配だという声も聞かれました。

現に福島県の中でも福島原発からは遠い会津中央病院訪問看護ステーションの管理者大友さんから、会津でも雨どいの下ではかなり高い放射線量が測定されると聞きました。関東地方の放射線量測定結果は北茨城まではニュースで知ることができます。たしかに北茨城ではいつも高い線量なので福島県の線量は当然のことながら高いことは容易に予測することができます。

このように多くの福島県の管理者の現状を聞きながら、本当に頭の下がる思いでした。自らの被ばくの危険を察知しながらも、利用者の在宅療養支援のため訪問看護を実施する多くの訪問看護師の献身する活動をもっと多くの人々に知ってもらいたいです。

2011年9月21日水曜日

4大疾病から5大疾病へ         

4大疾病(心筋梗塞・癌・脳卒中・糖尿病)に精神疾患が新たに加わり5大疾病になりました。重点対策を行う疾病が増えたのです。その結果各都道府県は、患者を減らす予防策や医療機関の連携強化などの医療計画を策定するようになります。その計画の柱となるのが、訪問診療や訪問看護などの在宅医療の充実だといわれています。

今までも精神疾患患者の在宅移行に関する調査研究がなされてきました。平成21年以降は長期入院を経て地域で生活する統合失調症等の精神科疾患患者は7万人と推計され、そのうちの約2万8千人に訪問看護が必要だとする報告書もあります。精神疾患の利用者に特化した事業展開をしている訪問看護ステーションも徐々に増えてきてはいますが、多くの訪問看護ステーションでは精神科看護の経験がないからという理由で利用者の受け入れに躊躇する傾向があります。

精神科疾患の中で注目されているのは認知症です。訪問看護で認知症の患者と関わる機会は多いのではないでしょうか。訪問看護で関わる1号保険者の約半数に程度の差こそあれ認知症があるといわれています。今まで認知症は介護職の本領のようになっていますが、介護職だけで認知症の利用者の在宅療養の支援ができるでしょうか。認知症の薬物療法は進んでいます。認知症の中核症状を抑える薬物だけでなく幻覚・妄想・幻聴等の周辺症状を軽減する向精神薬などの薬物療法なども積極的に行われています。在宅で先に述べた薬物療法を行っていくとき本当に必要なのは看護職の薬物の知識にもとづく服薬指導ではないでしょうか。

いま一度度訪問看護ステーションの利用者の内訳を分析するとともに、新たな認知症利用者の受け入れに対し準備する必要があるのではないでしょうか?その際認知症看護の学習が必要になることは言うまでもありません。

2011年9月9日金曜日

平成 24年報酬改定のミニ情報

9月になり2日3日は福井県の管理者研修にいきました。台風12号の影響で帰りは当初予定していた北陸本線が全面運休のため急きょ小松空港に行き飛行機で帰ってきました。財団当時も含め移動手段が行き帰りで違ったのは初めてでした。


さて8月12日政府が社会保障・税の一体改革の作業スケジュールを公表しました。来年の改正は医療保険と介護保険が同時に変わるため訪問看護ステーションのみなさんは気になるところでしょう。報酬については10月中に基本方針が決まる予定です。10月といえばもうすぐです。


新しい情報として介護報酬の地域区分が現在の5区分から7区分になることが決まりました。変わる地域は特甲地で3つの区分に分けられます。詳細は今後の介護給付費分科会で決定していくそうですが、今まで10%の上乗せだった地域の上乗せ割合が細分化されます。該当する地域の訪問看護ステーションは報酬が下がる地域が出てくる可能性もあるので今後の情報を注視する必要があります。


9月になったのでコラムの背景とフォントを変更しました。

2011年8月31日水曜日

母の介護

 母は87歳、2年ほど前に父が亡くなってから一人暮らしをしている。いつも母の世話をしている姉が旅行に行くことになりその間母がひとりでいることがが心配ということでその間実家に行った。認知症による物忘れがあることは姉から聞いていたし、時々母の家を訪ねたときや電話の応対から認知症の進行の察しはついていたが、数日一緒に生活すると認知機能障害の状況は想像をはるかに超えていた。
家事で指示なしでなんとかできるのは洗濯だけ。食事の支度や家の掃除や定期的なゴミ出し買い物などは誰かの支援がなければできなくなっていた。また同じ品物の購入や鍋焦がしは日常的であることも掃除をしてわかった。今まで一人で生活できたのは近くに住む姉の介護支援によるところが大きかったと痛感した。

元気なころには社交的で話好きだった母であるが、言葉少なく閉じこもりがちになっていた。自己中心的な行動が多く今までの優しく周囲に気配りするしっかり者の母とはまったく違う人格になっていた。また徘徊や妄想などはないものの、物忘れはかなり強く同じことを何度も繰り返すなど認知機能障害は中程度かそれ以上と予測できた。

実は姉から約半年前から母の認知症状の進行について聞いていたがこれほどまでとは思っていなかった。年齢的なこともあるなどと言っていたのが悔やまれるほどだった。

実家から帰る前日、母にこの数日間の状況を話し地域の認知症専門医への早期受診と同時に介護認定の申請をすることを勧めた。母は観念したように姉妹で話あい今後のことを決めたら従うとその時は言ってくれた。これで母の認知症治療の第一歩の始まりである。今後母からの受診拒否等はあるだろう。しかしその都度姉妹で決めたことだからと説得し治療を勧めるしかないと考えている。

訪問看護の現場にいたころは認知機能障害のある利用者に対し早期受診を勧めていたが、身内のことになるとこれほどまでに状況判断が鈍るということを実感した数日であった。

2011年8月19日金曜日

おすすめドキュメンタリー映画「チェルノブイリハート」

いつもなら管理者研修で地方に行くことが多い週末ですが812日金曜日は珍しく出張なしの週末だったので、13日土曜日は公開初日の「チェルノブイリハート」を観にいきました。

「チェルノブイリハート」はドキュメンタリー映画です。25年前にチェルノブイリで起きた原子力発電事故の影響を受けた子供たちの今を映しています。
「チェルノブイリハート」というのはチェルノブイリ原発事故後、生まれながらに心臓に重度の奇形がある子供を総称する言葉です。心室中隔欠損等の心奇形の子供約7,000人が手術を待っているそうです。でも残念ながらこのような子供は、アメリカから派遣された医師による手術を待つ間に毎年200人以上亡くなっているそうです。

チェルノブイリから約80キロ離れたベラルーシでは、事故後「チェルノブイリハート」の子供だけでなく、遺伝子異常による口蓋裂や水頭症などの奇形児の発生率が多く健康な赤ちゃんの生まれる割合は1520%、たとえ健康で生まれたとしても免疫力の低下でさまざまな病気になりやすいと産婦人科医は話していました。子供の甲状腺がんの発症率も3040%と極めて高いものでした。

チェルノブイリから約200キロ離れた地域の高校生への内部被ばく調査、セシウムが高かった高校生に日常食べている食物を聞き毎日食べているいちごジャムを測定、その結果いちごジャムは高濃度のセシウムに汚染されていたため今後食べないようにと厳重注意する場面もありました。

とてもショッキングな映像で構成された「チェルノブイリハート」でしたが、放射能汚染の怖さと放射能に対する認識の甘さを知る機会を与えてくれました。

2011年8月10日水曜日

介護職の痰の吸引等医行為の教育プログラムの枠組み

7月22日厚生労働省が示した省令では、介護職員実施できる行為は痰の吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)経管栄養(胃ろう・腸ろう・警備経管栄養)と明記されました。介護福祉士は基本研修として講義50時間と各行為の演習を養成課程で行うこと、介護福祉士試験で合格後に研修登録実施機関で実地研修を行うことが定められました。
介護福祉士以外の介護職員の研修プロクラムの枠組は、以下のとおりです、
     痰の吸引と経管栄養の対象行為すべてを行う
     痰の吸引(口腔内と鼻腔内のみ)と経管栄養
                (胃ろうと腸ろうのみ)
     特定の利用者に対して行う実地研修
この3種類の研修が設けられました。この研修は登録実施機関が研修や演習を実施することになります。このように介護職の吸引等の医行為への業務拡大へ向けての研修プログラムの枠組みができています。

研修プログラムの内容ですが①の介護職の吸引等の行為へ限
定はされていませんが、②では吸引と胃瘻の行為の内容が現
定されていることがわかります。また③は医行為の対象が特
の利用者に限定されていることがわかりますまた介護職が
行う吸引等の医行為は対象者や実施できる行為容が限定され
ているということがわかります。

これらのことから考えられることは、様々な研修プログラムを受けた介護職が在宅の現場で働く可能性が高いこと、研修プログラムを受けたとしてもそのスキルは②③では限定的であるといえます。

このような研修プログラムから考えられることは、介護職の
教育内容を把握したうえで訪問看護連携し指導することが重
要と考えます。それに加え訪問看護師が行う吸引等の医行為
介護職の行う吸引等の医行為と明らかに違うことを実施す
るケアで利用者や家族に示すことです。


2011年8月3日水曜日

報酬改正に強い訪問看護ステーションになろう

平成24年は訪問看護ステーションが制度化されて20年になります。医療保険だけで訪問看護を実施してきた訪問看護ステーションにとって平成12年は介護保険制度の導入の年でした。その後2年ごとの医療保険の報酬改正と3年ごとの介護保険の報酬改正が続き、平成18年には医療・介護のダブル改正がありました。このようなダブル改正の年に訪問看護ステーションはさまざまな影響を受けてきました。訪問看護ステーションは制度による事業なので改正の影響はやむを得ないと考えます。しかしこれほど報酬改正の影響が大きい事業は他にあるでしょうか。もちろん医療機関も報酬改正の影響を受けると思います。しかし訪問看護ステーションのようにその数が停滞する、あるいは数の減少が著明にある事業が他にあるかということです。

一回目の平成12年は介護保険導入の年で株式会社の訪問看護ステーションへの参入も可能になり、ステーション数は1年間で1,000か所ほど増えましたが、その後のステーション数は伸び悩んでいます。この伸び悩みは平成12年以降毎年開設数と休廃止数がほぼ同数で推移していった結果です。休廃止の理由は利用者確保ができなった結果の赤字経営です。
二回目は平成18年の医療・介護のダブル改定です。いわゆる「7:1ショック」の影響により訪問看護ステーションから医療機関への看護職の転職が起こりました。その結果ステーションの人員不足による休廃止が増え結果平成19年のステーション数の減少が起こりました。この時全国の訪問看護ステーションの約4割で1人以上の看護職の退職者が出たという調査結果があります。(日本看護協会・訪問看護ステーション減少要因調査結果報告書)

このような状況から医療・介護のダブル改正の年が、訪問看護ステーションの経営に大きな影響を与えていることがわかります。平成24年は医療・介護のダブル改正です。介護保険は地域包括ケアシステムを改正の基本方針として、重度の要介護状態でも安心安全な在宅療養の継続可能にする24時間365日の医療・介護体制の整備とそのための介護職の業務拡大(吸引・胃瘻の注入)を行っていく方向性が示されています。
平成24年のダブル改正が迫っています。経営への影響を最小限にするために備えましょう。

2011年7月27日水曜日

初めて青森県に行ってきました.

721日から初めて青森県に行ってきました。これで管理者研修の未到の県はあと4件になりました。ちなみにまだ訪れていない県は群馬県、三重県、香川県、佐賀県です。

青森県はさすが本州最北端の県、涼しいとういうのが第一印象です。管理者研修の会場からは右に陸奥湾左に竜飛崎が見えるロケーションで、もっと天気がよければ函館も見えるアスパムという会場でした。この会場の1階部分は青森県の物産店があります。この物産店で買った青森特産のホタテの味は最高でした。

青森では8月Ⅰ日から7日までねぶた祭りが開催されます。アスパムのまわりにはねぶたの収納庫が立ち並び出番を待っています。ねぶたは20機ありそれぞれスポンサーがついています。たまたま日立がスポンサーをしているねぶたの収納庫で中に入って本物のねぶたを見ることができました。写真がそのねぶたですが、あまりに大きくて全部は撮影できませんでした。

ねぶたは約半年かけねぶた師という専門職人が作成しその費用はねぶた祭りに関わる人達の人件費をいれると1000万円から1500万円かかるそうです。実物を見るとさすが専門職人の技だと感じざるをえません。

このように専門職の技はねぶたで人びとを喜ばせたり楽しませたりして感動させるのです。専門職の技により対象者のよい反応や満足度を導き出すという点では何か訪問看護にも共通するものを感じました。

2011年7月20日水曜日

訪問看護ステーションのこれから

716日奈良県看護協会の管理者研修に行きました。奈良県看護協会は京都駅から近鉄戦の樫原神宮前駅か大和八木駅が最寄り駅です。奈良県の名物は奈良漬や柿の葉寿司や葛餅などが有名です。左の写真は大和八木駅構内にある柿の葉寿司の販売店です。柿の葉の殺菌力効果を利用し魚の切り身と酢飯を柿の葉で包んだ郷土料理です。

奈良県看護協会は、奈良県を3地区に分けその地区に訪問看護ステーションが全部で7か所あります。そのうちの一つの地区である橿原市には4か所の訪問看護ステーションがあります。奈良県看護協会は公益法人化に伴い、橿原市内3か所の訪問看護ステーションを統合し訪問看護センター(仮称)の開設を企画しているそうです。すでに奈良県看護協会近くに用地も決まり建設に向け動き出しました。1階が訪問看護ステーションの事務所で2階は研修室の予定です。今までの利益を有効利用し訪問看護ステーションが自らの拠点を持つということの意味は大きいと思います。
平成4年に訪問看護制度が成立して早20年経過しました。訪問看護ステーション数は平成234月現在5,922か所(全国訪問看護事業協会調査)です。平成22年の同時点は5,731か所でしたから、残念ながら1年間で191か所しか増えていないということです。ちなみに平成22年の新規は383か所休廃止数は311か所でした。


在宅療養には必要不可欠な訪問看護と言われながらもさまざまな外的要因や内的要因により訪問看護ステーション数は増えていない状況です。初心に帰れば看護職が経営者として訪問看護ステーションの経営・運営ができる訪問看護ステーションの制度化でした。もしこのまま訪問看護ステーション数が増えないということになれば、残念ながら看護職は経営者に不向きだったということになりかねません。経営者として成功する管理者が増えることで訪問看護ステーション数は確実に増えていくでしょう。

2011年7月12日火曜日

富山県の訪問看護ステーション管理者育成への取り組み

7910日と二日間富山県看護協会に管理者研修講師としていきました。富山の夏は白エビがおいしい季節です。写真は富山の名物ますの寿司です。ますの寿司はその製造元によって微妙に味が違います。


 
富山県は平成18年から予算を組み訪問看護ステーションの管理者育成に取り組んでいます。その取り組みの始まりは全国最下位の訪問看護ステーション数でした。平成18年当時の富山県の訪問看護ステーション数は33か所、県はこのままでは在宅療養の支援のいけないとして訪問看護ステーション数を増やす対策を講じたのです。その対策は今でも引き続き実施されています。訪問看護ステーションに関する県の対策は、「訪問看護ネットワーク支援事業」「訪問看護ステーション設備整備費への補助」「訪問看護運営支援アドバイザーの派遣」「訪問看護師の育成・就業支援の実施」「アマネジャーへの在宅医療連携研修の実施」の5項目です。このような県の取り組みで訪問看護ステーション数は37か所に増えました。

「訪問看護ネットワーク支援事業」は国の訪問看護支援事業の予算です。右上の研修会写真の幟や一般市民向けのパンフレットを作成し富山県内の病院に出向き訪問看護の広報活動を行っています。
また「訪問看護ステーション設備整備費への補助」ではステーション開設資金の補助を行っています。
「ケアマネジャーへの在宅医療連携研修の実施」はケアマネジャーの訪問看護の理解を深める研修と訪問看護ステーションでのケアマネジャーの実習を行っています。

「訪問看護運営支援アドバイザーの派遣」は、訪問看護ステーションの管理者への経営・運営コンサルテーションを行っています。この事業の開始から萩原がコンサルタントとして関わっており昨年までで24か所の訪問看護ステーションのコンサルテーションを行いました。この事業を受けた管理者は利用者を増やす方法や事業収入を上げる方法を学び1年後には成果を出しています。そして平成19年の利用者数3,064人が22年には3,834人で約3割伸びています。県の支援による管理者の具体的な経営・運営方法の学びは少しづつ成果をだしてきています。

 


 
 

 
 

2011年7月6日水曜日

介護福祉士の喀痰吸引等医行為が可能に

今年は梅雨のうちからこの暑さ、これでは夏本番の暑さが心配ですね。

写真は我が家のグリーンカーテンに実ったキュウリです。今年は節電対策で、キュウリとゴーヤを植えました。キュウリとゴーヤの成長は驚くほど速くネットを伝いベランダの天井まで伸びています。グリーンカーテンは日を遮る効果と見た目の涼しさの効果は抜群です。それに時々キュウリが収穫できるまさに一挙両得ですね。

さて話は変わりますが、7月4日発行の週刊保健衛生ニュースに介護福祉士の実施可能な医行為を喀痰吸引・経管栄養とし社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正をする社会・援護局長通知が発出されたと書かれていました。これは介護福祉士の喀痰吸引等の医行為の実施が可能になるということです。もちろん医行為を行うには介護福祉士が一定の教育を受けることが要件ですが。

平成15年にALS患者への家族以外の者による吸引が(一定の条件つきで)できるようになって以来対象者範囲や吸引等が実施される施設も広がり8年で介護福祉士の吸引等の医行為が法的に認められるまでになりました。このプロセスは早いか遅いかはなんともいえません。しかし現実としてこのようになっていくことは明らかです。

では訪問看護ステーションではどのように対応すればよいのでしょうか?
ある地方の管理者研修で参加した管理者に今後の対応を聞きました。管理者たちはこのような状況に頭が真っ白になったと言いながらも懸命に対応を話合いました。
その結果は「共存する」「連携していく」ということでした。その方針を決め早急に具体策を考えていく必要があります。平成24年度はまだ先だからといわないで「蟻とキリギリス」の話を思い出してください。備えは早すぎるということはありません。
 

2011年6月28日火曜日

先をみて仕事をするーそれが管理者の役割

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は訪問介護ステーションが看護師を雇用する体制と訪問看護ステーションとの連携によりサービスを提供する体制の二つがあります。

訪問看護ステーションを持つ大手の訪問介護会社はすでに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」への対応策として訪問看護ステーション数を増やすことを計画しています。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が対象とする利用者は重度の要介護者となっています。ちなみに訪問介護ステーションは要介護12の軽度の利用者が多いのですが、訪問看護ステーションは介護保険利用者の60%以上が要介護3上の中重度要介護者ですから「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は重度の要介護者が多い訪問看護ステーションには有利になる可能性があります。このような状況から大手の訪問介護会社は、同じ経営による訪問介護と訪問看護の連携による重度の要介護者の獲得を視野に入れています。
大手の訪問介護会社だけでなく訪問介護ステーションは訪問看護ステーションと連携することで重度要介護者の獲得を見込み訪問看護ステーションとの連携を打診してくる可能性は大です。このような申し出があったときあなたの訪問看護ステーションはどのように対応しますか?
「連携しない」「連携する」この二つの選択肢があります。「連携する」を選ぶと今まで訪問看護の対象者では比較的少なかった認知症の利用者の獲得ができること、また介護職と協働することでケアの分担が可能になり看護師の疲弊の緩和ができるなどのメリットが考えられます。ただし看護の専門性を損なわないような方法でと言っておきますが。

管理者のみなさん、改正の方向性が示されたのですから、まだまだ先のことだからと言ってないで今のうちから「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」への対応策を講じるために準備をしてください。
まずは改正介護保険制度の情報収集、そして自分のステーションの介護保険利用者の介護度と訪問回数の関係と看護内容等の把握また現在連携している訪問介護ステーションとの連携状況の分析から始めてみてはかがですか!きっと今後の訪問看護ステーションの取るべき対応が明らかになるはずです。

2011年6月23日木曜日

訪問看護の深いあじわい




写真の家は以前コラムで紹介した長崎県の五島列島福江島で撮りました。この家は6年位前まで五島のお姫様が住んでいたお屋敷です。築100年は過ぎておりこのたび県の文化財になり保存されることになりました。

このお屋敷に住んでいたお姫様は以前紹介した鐙瀬訪問看護ステーションの訪問看護を受けていました。当時お姫様は90歳を過ぎていましたがそれはそれは格式の高い方だったそうです。当初お姫様の訪問看護の受け入れは悪かったそうですが、看護師としてお姫様の状態に対処しつつ看護することを地道に続けました。そして最後の時になり長年仕えたお手伝いさんと訪問看護師に深々と頭を下げ「ありがとう」とひとこと言い残して亡くなったそうです。

沖縄県のある訪問看護ステーションでは、その昔首里城にお仕えしていた末裔の方に訪問看護をしていました。格式の高い家柄で訪問看護導入時訪問看護師は家の中に入れてもらうことができず足浴や下腿潰瘍の処置を玄関先で行っていました。訪問看護師が利用者の居室や浴室に入って看護ができるようになるには訪問看護で行った下腿潰瘍が改善したときで、訪問看護開始から1年近く経ってからだったそうです。もちろんこの方も在宅で亡くなりました。

多くの訪問看護師はこのような経験を持っていると思います。このような経験は訪問看護師に「訪問看護師でよかった」と感じさせてくれます。つまり「訪問看護師でよかった」と実感するときは、看護師として専門的な判断による対応・処置・接遇ができたときではないでしょうか。

訪問看護は医療機関の看護と違い訪問看護を行う場が利用者の家であり提供する側のペースでできないなど対応の難しさがあります。しかしどのような環境下でも看護専門職として看護するのが訪問看護と考えます。

2011年6月16日木曜日

6月15日改正介護保険法が成立訪問看護ステーションへの影響を考える

訪問看護に関連する内容は、24時間対応で行う「定期巡回・随時対応訪問介護看護」と訪問看護と小規模多機能型居宅介護を同一の事業所で運営できる「複合型サービス」二つの新サービスの創設です。

これらの新サービスは「地域包括ケア研究会報告書」が基本になって創設されました。地域包括ケアは生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護サービスだけでなくさまざまな福祉サービスを含めた生活支援サービスを提供し住み慣れた地域で在宅を基本として暮らすことができるように支援することを目指しています。

「定期巡回・随時対応訪問介護看護」のサービス提供体制は、ひとつの事業所で訪問介護と看護を提供する方式でも、訪問介護事業所が他の訪問看護事業所と緊密に連携して提供する方式でもよいとされています。「複合型サービス」は小規模多機能型居宅介護と訪問看護の両サービスを組み合わせたかたちが打ち出されています。

新サービスの創設とともに介護福祉士や一定の研修をうけた介護職による痰の吸引・胃瘻の注入ができるようになります。訪問看護サービスの医療的行為で多いのが吸引と胃瘻ですから介護職とのケアバッティングが起こることになります。

訪問介護と訪問看護の連携による新サービスの創設と福祉職の業務範囲の拡大はケアバッティングが多い訪問看護業務への影響だけでなく、利用者の確保や訪問件数の確保など訪問看護ステーションの経営に与える影響は大きいといえます。
すでにケアバッティングしている療養上の世話だけでなく診療の補助である吸引や胃瘻のケア等の医療的ケアを今以上に看護専門職が行うケアとすることが改正介護保険法の新しいサービスへの対応になります。

PS
萩原は全国各地の管理者研修で平成24年医療・介護ダブル改定への対応についても講演しています。研修開催のお問い合わせは各県看護協会や各県の訪問看護ステーション連絡協議会へ。

2011年6月13日月曜日

身近な相談者は管理者の助け

研修会等で会う管理者は多くの悩みを持っています。そして研修会に参加し解決の糸口を見つけようとします。
研修会では、さまざまな事例を通して参加した管理者にわかりやすくかつ共感を得ることができるような内容を話しています。そのためか会場での萩原の話す内容にうなずく、笑うなどの反応を示してくれる多くの管理者がいます。そして多くの管理者から目からうろこの研修会でしたという言葉を聞きます。
多くの管理者は訪問看護ステーションの難局を乗り越えたいと考えて研修会に参加しています。

 上の写真は管理者研修(財団開催名古屋会場)の研修後質問の場面です。この研修の参加者は90名、質問者は6名でしたが、研修終了後の質問者を合わせると10名以上になりました。受講生が聞いているところでは質問しにくかったということで、帰り際に質問してきた管理者もいました。
職員のこと、利用者対応のこと経営のことなどでしたがその内容は極めて個別性の高いものでしたので、身近に相談者がいなくて困っていることが推測できました。

訪問看護ステーションは、法人内にありながらその実態があまりにも知られていないというのが現状です。
日本訪問看護振興財団が平成22年に研修会の効果について検証した「訪問看護ステーションの経営改善のための調査報告書」によると、同じ法人内に親身に相談できる人物がいるかという質問に対し約4割の管理者には相談できる人がいないという結果がでました。
管理者はいわゆる中間管理職に相当する場合が多いにも関わらず相談する人がいないということです。これは憂慮すべきことではないでしょうか。
別の調査では相談者がいる管理者の場合とそうでない管理者の在職期間に明らかな相違があることがわかっています。もちろん相談者がいる場合の在職期間が長いのです。

管理者の多くはステーションの経営状況が思わしくないと、法人との距離を置いてしまうことが多くみうけられます。そうではなくもっとステーションのことを知ってもらうためにも、一人で悩むことがないためにも直属の上司への積極的なアプローチをしてみたらいかがですか。きっとよき理解者ができると思いますよ。

2011年6月6日月曜日

日本訪問看護振興財団の管理者研修 名古屋会場を終えて

64日(土曜日)日本訪問看護振興財団の管理者研修「本当は楽しい経営・管理」が開催され萩原が講師をしました。
萩原からの「ステーションの経営が楽しい人」の質問に90名近い受講生の中5.6名の管理者が遠慮しがちに手を挙げました。
そうなんです!経営が楽しいと感じている管理者のいかに少ないことか!

左のグラフは、昨年萩原が講師で全国5か所で実施した日本訪問看護振興財団の管理者研修の調査結果の一部です。
受講前と受講6か月後の収支状況の変化を比較しています。黒字になったステーションが増え赤字ステーションが減少しているのがわかります。6か月の結果では判断しかねるのではと考える方もいるのは承知していますが、結果は管理者が研修会で学んだ方法を実践した結果収支状況が良くなったことを表しているといえます。
そればかりでなく、「職員の看護のスキルアップができた」「職員の意欲向上」「職場のチームワークがよくなった」などの2次的効果があったという結果も出ています。

管理者は経営改善の方法がわかれば実践し成果をだすことができるのですから、成果を自らの成功体験とし自信をもってほしいのです。そうすれば本当は楽しい経営・管理になること間違いなしです。

2011年5月31日火曜日

訪問看護師さんたちもっとインターネットを活用しよう

コラムを掲載し約1か月たちました。この間の読者は述べ400名になりました。
研修会に行ったときにコラムのPRをしていますので、読者の多くは訪問看護師さんと思っています。

このコラムを読んだ、うちの息子から「なんだか硬い内容だね。もっと面白い内容にしたら」という貴重な?意見をもらいました。もっともと思いましたが萩原はコラムを全国の訪問看護師さん宛で、内容は訪問看護の実践に役立つものをと考えていましたので「たしかに硬い内容かもしれないけれど、全国の訪問看護師さんへのメッセージのだから」と言うと、「それならいいんじゃない」と息子のことば。

そうなんです。このコラムは全国の訪問看護師さんに宛てたものなのです。
地方の訪問看護の状況はもとより訪問看護に関する調査報告書の内容もわかりやすく解説しています。

北海道訪問看護ステーション連絡協議会のネットに関する調査によると訪問看護ステーションでは、訪問看護に関する情報や知識をインターネットで調べていますが、インターネットを利用する回数は週1回という結果が出ています。
インターネットは時々刻々と変化しているさまざまな情報をタイムリーに提供してくれますし、さまざまなことが簡単に検索できます。利用価値は十分ありますのでぜひ毎日インターネットにつなげて新鮮な情報を取りいれてみてはいかがでしょうか。


PS:6月4日(名古屋)6月18日(東京)で日本訪問看護振興財団の管理者研修が
あります。萩原は「ほんとは楽しい経営管理」の講師です。ぜひご参加ください。