2011年6月23日木曜日

訪問看護の深いあじわい




写真の家は以前コラムで紹介した長崎県の五島列島福江島で撮りました。この家は6年位前まで五島のお姫様が住んでいたお屋敷です。築100年は過ぎておりこのたび県の文化財になり保存されることになりました。

このお屋敷に住んでいたお姫様は以前紹介した鐙瀬訪問看護ステーションの訪問看護を受けていました。当時お姫様は90歳を過ぎていましたがそれはそれは格式の高い方だったそうです。当初お姫様の訪問看護の受け入れは悪かったそうですが、看護師としてお姫様の状態に対処しつつ看護することを地道に続けました。そして最後の時になり長年仕えたお手伝いさんと訪問看護師に深々と頭を下げ「ありがとう」とひとこと言い残して亡くなったそうです。

沖縄県のある訪問看護ステーションでは、その昔首里城にお仕えしていた末裔の方に訪問看護をしていました。格式の高い家柄で訪問看護導入時訪問看護師は家の中に入れてもらうことができず足浴や下腿潰瘍の処置を玄関先で行っていました。訪問看護師が利用者の居室や浴室に入って看護ができるようになるには訪問看護で行った下腿潰瘍が改善したときで、訪問看護開始から1年近く経ってからだったそうです。もちろんこの方も在宅で亡くなりました。

多くの訪問看護師はこのような経験を持っていると思います。このような経験は訪問看護師に「訪問看護師でよかった」と感じさせてくれます。つまり「訪問看護師でよかった」と実感するときは、看護師として専門的な判断による対応・処置・接遇ができたときではないでしょうか。

訪問看護は医療機関の看護と違い訪問看護を行う場が利用者の家であり提供する側のペースでできないなど対応の難しさがあります。しかしどのような環境下でも看護専門職として看護するのが訪問看護と考えます。

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